上村愛子の闘い

女子モーグル、前回覇者のハナ・カーニーの滑りは、ターンが必ずしもきれいとは言えず、二連覇はないなというのは素人目にもわかったが、上村は一瞬、これでメダルが取れたかも、と思ったらしい。結果はわずかにハナが上回り、残念ながら4位になってしまったのだが。

城勇太コーチによると、もともとは上村のようなコブを縦に切り裂く高速ターンがいいとされていた。が、最近はカーニーに代表されるような、コブの周りを縫うように滑るのが美しいと評価方法が変わったらしい。採点方法がコロコロ変わったからといって、一度練り上げ、身体に染みついた技はそうそう簡単に変えられない。もともとエア重視からスピード重視へ方向転換を行なっているのだ。別の報道によると、審査員の講習の際に、上村愛子のビデオを見せられ、これはダメ、というようなことが行なわれたらしい。そのため彼女に対する採点は厳しいものになってしまったというのだ。

上村の滑りは、もはやメダルうんぬんを超越していたから今さらどうでもいいが、ジャンプといいフィギアといい、大会のたびに採点基準やルールが変わっていくのは疑問が残るところである。それに振り回されるのはどの選手も同じだろうが、どうも日本人ばかりが不利になっているような気がするので。

ところで、上村はこれで引退するのだろうか。34歳という年齢はモーグルの出場選手の中で最年長。5回もオリンピックに出場しているキャリアを考えても、私生活のことを考えても(ソチが終わるまで子作りを封印してきたとか)、これで勇退するのがいいのかなとも思うが、モーグルに4人も選手を送り込んでおきながら決勝ラウンドに残ったのは上村ただ一人で、「次」の選手が育っていないことになる。後ろ髪を引かれる思いもあるのではないだろうか。

(2014/2/24 記)