上村愛子さん、お疲れさまでした

女子モーグルの第二予選からテレビ観戦。上村愛子は予選一回目で既に予選通過を決めていた。また伊藤みきは予選前の練習の際に右膝靭帯を損傷し、棄権していた(この傷は昨年12月に負ったもので、本来は全治8ヶ月の重傷だったらしい)。

予選二回目は、村田愛里咲は無事通過したが、星野純子(初出場)は残念ながら予選落ち。

以前はいきなり決勝だったが、今回の五輪から、予選通過の20名が準々決勝を争い、12名が準決勝へ進み、さらに6名が決勝へ進むことになる。準々決勝、準決勝、決勝は続けて行われるため、最後まで残ると3回続けて滑ることになる。体力的にはきつそうだ。

村田愛里咲はせっかく予選を通過したのに、練習中に足を痛め、準々決勝は棄権。上村は無難に滑って9位。準決勝には楽に残れたがメダルを狙うには厳しい位置だ。

準決勝では、滑った時は一位だったが、その後に滑った選手が次々と上村を上回り、一人を残して6位になってしまった時はあわや決勝には残れずかとも思われたが、最後の選手が上村の点を下回り、ギリギリで決勝進出。相変わらずドキドキさせられる。

決勝は一番手。二番手・三番手の選手が上村より下だったので、この時点で4位を確保。あと誰か一人ミスってくれれば、と日本中が願ったであろうが……三人とも実力を発揮して上村を上回り、上村は4位入賞となった。

メダル獲得はならなかったが、考えてみれば、今回もモーグルに4人の選手を送り込んだにも関わらず、準々決勝以降に残ったのは上村ただ一人。しかも5大会連続して決勝を争っているのだ。誰が彼女を非難することができようか。誰にも恥じない立派な成績を残して歴史に名を刻んだと言っていい。

準々決勝以降は3回続けて滑ったわけだが、滑るたびに少しずつ修正し、3回目が一番よかった。それが順位にも表れているわけだが、そういう意味では出場選手の中で一番安定していたといえる。また、決勝ではスピードは上村が最速だった。もともと上村は、エアは世界最高レベルだがスピードが足りないと言われていた。それを修正しスピードで世界最高になったのに、メダルに手が届かなかったのは皮肉な話だ。

しかし、今回の彼女の滑りを見ていて、滑りそのものはともかく、エアに関しては(申し訳ないが)一度もカッコいいと思えなかった。全体的にスピード重視になっており、長野の頃に比べれば華麗な技はなりを潜めてはいるが、それでも外国選手の中には「おお〜」というようなエアを披露してくれた選手もいたのだから。これが本当に上村のあるべき滑りだったのかは、個人的には疑問を感じるところだ。

試合後のインタビューでは、変に悲壮な表情は見せず、明るく「すがすがしい気分です」と話していたのはよかったなと思った。「メダルは取れませんでしたけど、そこは申し訳ないと思いますけど、まあ、でも、頑張ってきてよかったなと」。

上村さん、本当にお疲れさまでした。