草津よいとこ一度はおいで

健康保険組合のなんちゃらで安く泊まれるという話を聞き、数ヶ月前に応募したところ当たったため、草津温泉の「中沢ヴィレッジ」に二泊で旅行に出かけた。あとで調べてみると、別にそれほど割引になっているわけでもなかったけど。温泉旅行は久しぶりだ。

出かけるに際して、列車で行くか自家用車で行くかの選択があった。以前、よく国内旅行に出かけていた時は、自動車を使うのが当然と思っていた。自動車のメリットは、door to doorで座ったまま移動できること、荷物の量を気にしなくて済むので、無理にコンパクトにまとめる努力をしなくていいことがあげられる。特に夏の旅行の場合、クーラーボックスに飲みものや冷やしたタオルなどを入れておくと重宝するが、列車移動の場合はこうしたものは諦めないといけない。一方、移動中はずっと運転をしていなければいけないから、居眠りや読書はできないし、渋滞するとイライラして喧嘩になりやすい。だから今回は列車で行くつもりでいた。上野から最寄り駅(長野原草津口駅)までは特急で約2時間半だが、この路線は乗ったことがない。乗ってみたいという気もあった。*1

ところが、調べてみると、ホテルが東京からのバス便を運行しているという。長距離バスは気が進まない。

  1. 列車の倍近く時間がかかる(約5時間)
  2. 座席が窮屈
  3. 酔いやすい
  4. 本が読めない
  5. 車内にトイレがない

などいくらでも理由は挙げられるが、値段を聞いて即座にバス利用を決めた。なにしろ列車だと(新幹線を遣わなくても)6000円強かかるのに対し、バスだと1750円しかかからないのだ。

東京駅の集合が8時半なので、朝は6時起きと少々つらかったが、早起きのおかげでバスの中は大半を寝て過ごし、退屈する間もなかった。到着は13時半、まずホテルで昼食を食べたのち、早めにチェックインさせてもらい、少し部屋で休憩して散策に乗り出す。

中沢ヴィレッジは単なる温泉ホテルではなく、一大リゾートセンターのようなところで、ホテル内の施設はプールのほか、ボウリング、ビリヤード、卓球、ゲームセンター、カラオケボックスなどにブティックもあり、屋外はテニス、ゴルフ、アーチェリーやさまざまなアスレチックの施設があって、数日の滞在ではとても全部は体験できないほどだ。感心したのは、アクセサリーだか陶芸だかの製作を習い、自分の作品を作ってしまうコースで、これは子どもの夏休みの宿題(工作)対策だろう。遊びに来て宿題も済んでしまうわけだから、こんなにありがたいメニューはないに違いない。なるほど、よく考えられている。

僕はゴルフはやったことがないが、パターゴルフならできるだろうとやってみた。これが思ったよりはるかに奥が深かった。ちゃんと18ホールあり、距離はもちろん通常のゴルフコースよりははるかに短いものの、バンカーあり、ラフありで、生易しく攻略できるものではない。一度などはホールが少し高いところにあり、うまく乗せられないと打っても打っても打った場所にボールが戻ってきてしまう。おかげで9打も叩いたが、それはそれで面白かった。アウト(パー32)は+14と散々だったが、イン(パー34)は+1とまずまず。森の中を歩きながらすること自体が気持ちがいい。

そのあと温泉に入り、夕食。

夕食はバイキングとコース料理が選べることになっている。コースは和・洋・中とあるので、初日はフランス料理二日目は和風懐石などと考えていた。事前予約が必要とのことで、前日に電話すると、コースはフランス料理のみで今の季節は和・中はやっていない、また既にコースは予約で一杯なのでバイキングになりますとのことだった。オフシーズンに、いろいろなレストランを開けているのはロスが大きいから数を減らします、というならわかるが、今の季節にやっていないとは!? という疑問と、以前書いたが(「これが八丈島のきょん/八丈島旅行(7/8) 」、2010/07/09)バイキングにはいい印象がないため、せっかくの旅行なのにバイキングかあ……と、少々ガッカリしていた。

が、当日チャックインの際に訊くと、コースでも大丈夫とのこと。また、なぜコースを洋のみにしぼっているのかも後日判明。洋食レストラン以外の店はすべて(3ヶ所)バイキング。客の数がすごく多いため、そうしないととてもさばき切れないのだ。この時期は家族連れ(子連れ)が多い。食の好みの異なる家族が一緒に卓を囲めるバイキングは、メリットもあるのだろう。ちょっと覗いてみた限りでは、目の前で調理したりしているものもあり、作り置きを並べている風ではなかった。しかし、混雑するバイキングを尻目に、ゆったりとコース料理を賞味。久しぶりにゆっくり食事をした感じ。

ちなみに、「天国よいとこ一度はおいで/酒はうまいしネーチャンはきれいだ」は「草津よいとこ一度はおいで」(草津節)のパロディである。パロディであることを知らない人が少なくないようなので、書き残しておく。有名な「お医者様でも草津の湯でも 惚れた病はなおりゃせぬ」も草津節の一節。

*1:読み返して思ったが、基本的に自動車の運転が好きなので、メリットとかデメリットとかはどうでもよくて、自動車で行かれる所は行くのが当たり前だったのだ。しかし、何度も旅行を繰り返して、意外とデメリットもあるなと思うようになり、また若い頃ほど運転にこだわりもなくなり、メリットとデメリットを考えるようになった。デメリットの最たるものは費用である。