旅行の魅力

家族持ちが、知り合い程度の関係の人と、仕事でもないのに一緒に旅行に行くというのは、僕もよくわからない。そういうのを好きな人が行くこと自体はもちろん自由なのだが、時間の調整ひとつとってもなかなかに面倒であり、それでもなお行こうと思うほどの魅力は、少なくとも僕は感じないし、世の中全般的に、だんだんそういうのは衰退の傾向にあるのではないかなあ。まして男女まじってということになると、そう一般的ではない気がする。

しかし、親しい人と出かけるのはまた別である。目的がはっきりした旅行なら、一人で出かけるのもやぶさかではないけど、リフレッシュとか気分転換とかが目的なら、親しい人が一緒の方が楽しい。まして、好きな異性と一緒ならこれ以上楽しいことはないと思うのだが。

好きな人と一緒なら、別に出かけなくても、自宅でまったり過ごしてもいいし、一緒に映画を見る、一緒にゲームをする、一緒に飲みに行く、……何をやっても楽しい。旅行である必要はない。では旅行の魅力は何かというと、ひとつは非日常の空間であること、もうひとつは、非日常であるがゆえだが、その間ずっと一緒にいられる、ということがあるのではないか。

普通にデートしていても、いつか帰る時間になる。仮に泊っていくとしても、お腹がすいたら食事の支度をしなければいけない、寝るためには布団を敷かなけれないけない、起きたらたたまなければいけない、シーツは洗濯しないといけない、……当たり前だが生活のためには家事や雑事が必要で、それに意外に時間を取られるものである。旅行中はそうした雑用から解放されるのが一番の魅力なのではないか。