営業噺 その二

仕事でもヘラヘラやってたら許されない結果でも、苦しそうにやってたら大目に見られることってありますしね。

このエントリとは少し離れるのだが、上記にインスパイアされた話。

営業に限らないが、何かミスをしてそれが大問題になる、ということはある。お客様に文句を言われ、上司に怒鳴られ、本人も事態の大きさに真っ青になり、唇はぶるぶる震えて……

そうした態度は、案外周囲のウケが良かったりする。さすがにあれだけの問題を起こしたのだから、本人もヤバイと思っているみたいだな……というわけか。しかし、営業としてはこれは困りものなのだ。

社長室で怒鳴られている時は神妙な顔をしていても、社長室を出た途端にどこ吹く風。周囲が「少しは反省しろよ」と呆れてもへらへらしながら「がんばります〜」などと言う奴の方が、よほど頼もしかったりする。

「ミスがミスを呼ぶ」という言葉がある。責任を感じれば感じるほど、平常心ではいられないだろうが、そうでなくてもトラブルを起こしていて慎重に対処しなければいけない時に平常心を欠いていると、普通だったらあり得ないミスをやらかすことがあるのである。

トラブルが起きた時に、トラブルが解決するまでそれだけに集中できるのであれば、まだいい。そうしている間にも、別の顧客からメールは入るし電話もかかってくる。そうした時に暗い顔をひきずっていれば、関係ない相手に迷惑がかかる。新規の問い合わせだったらそれだけで逃げられてしまう。

だから、引きずらない人が営業に向いている。たとえ心の中は真っ青になっていたとしても、それを態度に表わしてはいけない。少なくとも、態度に表われないように努力しない人は、営業には向かない。世の中には、わざと落ち込んだ姿を見せて周囲の同情を引こうとする人もいる。こういう人が案外うまく世の中を渡っていったりするのかも知れないが、営業の成績をあげることは無理だろう。

僕も、「やべーー!!」と、顔から血の気が失せるようなことを、時たまやらかす。そうした時は、いきなり対処に走ってもいいことはないので、ちょっと会社の外に出て散歩する(以前は会社のそばに公園があって気分転換には良かったのだが、今は散歩できるところがない)か、近くのコーヒーショップに行ってコーヒーを一杯飲むか、別の部署の人のところへ行ってちょっとお喋りしてくるか、……そうして、落ち着いてから席に戻ることにしている。冷静にならないと、適確な判断が下せないから。

ここ数年は、血の気が失せるようなこともない。これはミスをしなくなったからではなく、ミスをしても、「誰だってミスはするさ、要はリカバリだ」と開き直って、焦らなくなったため。若さがなくなりました。