距離感覚

東北新幹線が開通する前、福島〜仙台間は在来線で1時間半ぐらいだったかと記憶している。

福島で仕事をしていると、仙台へ出かける機会が多い。同じ東北の最大の都市であり、仙台に東北支社があって福島はその下の営業所だとか、仙台が本社で福島が営業所、といった会社も多く、そうすると会議やらなにやらで仙台に行くことは頻繁に発生するわけである。インターネットなんかない時代だから、メールでやり取りもなく、テレビ電話による会議もできないわけで。

で、このあたりは会社によって違うかも知れないのだが、一般には仙台出張というと一泊が普通だったと思う。日帰りという発想はあまりなかったと思うのだ。一泊すれば、現地でお酒が飲める。ちょっと楽しいこともあるわけである。

ところが、新幹線が開通してからは仙台までは日帰りとなった。当然、夜のお楽しみもナシ。なんで新幹線なんかできたんだ!? と文句を言う会社員は、僕の周囲にたくさんいた。

今から思えば、新幹線が開通しなくたって、1時間半なら十分日帰りできるだろう、とも思うのだが、それが可能かどうか検討の上そうなったというより、「国を越えていく」という感覚があって、行けば泊りというのが当たり前の感覚だったのだ。のんびりした時代だった、という証左でもあろう。

で、今。よくよく考えると、首都圏で仕事をするサラリーマンは、通勤時間が1時間半〜2時間なんてザラ。20何年前なら泊りの出張になる距離を毎日通勤しているわけだ。それが当たり前の感覚も、相当おかしいのかも知れないけど。