野茂の引退

今さらだが、記録。7月18日、野茂が引退を表明した。

冷たい言い方だが、こういうのも「引退」というのかなあと思った。これまでずっと現役生活を送ってきた人が、これでやめます、といったわけではない。ロイヤルズを自由契約になったあと、どこも獲得に乗り出す球団がなく、既に結果は出ていたようなもの。引退を表明したということは、もう、採ってくれる球団がないか探すのはやめます、という意味だろう。

ブログなどを見ていると、「プロ野球選手としてのパフォーマンスは出せない」という野茂のセリフを、格好いい、潔いなどと称えたものをあちこちで見かけた。でもこれは、かつて王選手が、まだやれる、と周囲がいう中「王貞治のバッティングができなくなったから」といって辞めたのとはニュアンスが違うんじゃないか。本当はもっと投げたい、でももはやプロのレベルにないから、どこも採ってくれない、残念だけど仕方ない、という意味だろう。

選手寿命も伸びているし、若い時から近代トレーニングを取り入れていた野茂のことだから、40前の引退は残念な気がする。が、致し方ないことだろう。

高給を稼ぎ、自分の記念館を作ってしまう人は時々いるが、長引く不況で企業の野球部が次々と廃部になる中、選手の受け皿を作りたいといってNOMOベースボールクラブを作ってしまうような野球選手は、これまでにはいなかった。今後も出てこないだろう、と書こうとして手が止まる。今の若い選手は、野茂のそうした部分をこそ見習ってほしいと思う。