岡林信康の手紙

手紙のサンプルを検索していて、こんなページに行き当たった。

いきなり岡林信康の「手紙」が紹介されていて、おおーいいセンス、と思ったが、ちょっと気になることを書いている。

当時のやるせない、乙女心をしっかり歌ったせつなくも悲しい歌ですね。

いや、乙女心じゃないでしょ。……もしかして、この歌の意味を知らないのだろうか。

私の好きなミツルさんは おじいさんからお店をもらい
二人いっしょに暮らすんだと 嬉しそうに話してたけど
私といっしょになるのなら お店を譲らないといわれたの


私は彼の幸せのため 身を引こうと思っています
二人いっしょになれないのなら 死のうとまで彼は言った
だからすべてをあげたこと 悔やんではいない 別れても


もしも差別がなかったら 好きな人とお店が持てた
部落に生まれた そのことのどこが悪い 何が違う
暗い手紙になりました だけど私は書きたかった

一読してわかるのは、これは失恋の歌じゃない。単にこの女の子が相手の身内に気に入られなかったという話ではなく、部落民だからダメだといわれたのだ。年寄りが頑固だっただけじゃない。ミツル君だって、いっしょに死のうとは言ってくれたけど、いっしょに生きようとはしてくれなかった。

それと、これは知らないとわからないことだが、これを書いた子は、このあと自殺する。作詞は岡林信康とクレジットされているが、遺書を岡林が手直しして詩の形式にしたのである。

最初は失恋の歌かと思って聴いていると、三連目でドンとくる。今でもこの歌を口ずさむと、涙ぐんでしまう。泣いたって何も解決しないけど。そんなことはわかってるけど。