佐藤博さんが亡くなられた

10月26日、佐藤博さんが亡くなられたのが見つかった。解離性大動脈瘤、65歳。自宅スタジオで死去しているのが見つかったのが26日で、死後一日以上経っていたという。

僕が佐藤博の名前を始めて聞いたのは大滝詠一の「ナイアガラ・ムーン」だ。このアルバムではキーボードプレイヤーとして佐藤博松任谷正隆の二人が起用されているのだが、どうも佐藤博の方が重用されているようであり、かつ、多羅尾伴内(アレンジャー、大滝詠一と同一人物)によるライナーノートでも佐藤博を高く評価しているようで、松任谷正隆ファンの自分としては面白くなかったのだが、それで佐藤博の名前が強くインプットされた。

のちに、鈴木茂が10ヶ月だけ結成した(幻の)バンド「ハックルバック」にも参加していたことがわかり、その頃は佐藤博にシンパシーを感じ始めていた自分としては、鈴木茂も人を見る目があるじゃないかなどと勝手に思ったりしていた。このバンドに「幻の」とつけたくなるのは、活動期間が短かったこと、活動期間中にオリジナルのアルバムを残しておらず、存在自体もあまり知られていないこと、存在を知った後も長い間メンバーが誰かわからなかったから。今でこそネットで検索すればすぐわかるが、「ハックルバック」なんて言葉がネットで検索してヒットするようになったのはここ数年のことじゃないだろうか。

ありがたいことに、当時の音源を集めたCDが発売されており、もちろん僕は入手している。なんと、桑名正博がボーカルを取っている曲も収録されている。(今知ったよ!!)*1

佐藤博の経歴を見て驚くのは、若いころからギター、ベース、ドラムなどは練習していたようだが、ピアノの練習は20歳になって始めたことだ。クラシックの世界では、ピアノは5歳から始めても遅い、3歳から始めないとダメ、みたいなことがまことしやかに言われるが、一体どんな根拠があってのことか、昔から訝しく思っていた。佐藤博のピアノの腕前に関しては、あの山下達郎が「日本一」と語っていたことがあるというだけで十分だろう。

ニュースによると、ティン・パン・アレーにも参加していたらしいのだが、これは疑問だ。いや、複数のソースでそうなっているから、単に僕が知らなかっただけなんだろうが、僕もティン・パンの演奏は好きで、CDでリリースされている音源は集められるだけ集めたはずだが、佐藤博が参加しているものはなかったはず。ライブだけで音源は残っていないのだろうか?

ハックルバック

ハックルバック

*1:鈴木茂が2009年に大麻取締法違反で逮捕された後、ハックルバックも含め、鈴木茂のアルバムはすべて発売中止になったはずだが、今確認すると鈴木茂のアルバムは普通に購入できるようだ。ハックルバックも再発を期待したい。