なぜマリナーズは勝てない!?/イチロー、10年連続200安打の偉業達成

23日(日本時間24日)、イチローが一気に2安打で今季152試合目にして200安打を達成した。これで10年連続である。連続200安打の記録はイチロー自身の持つ9年連続のメジャー記録を塗り替え、回数でもピート・ローズと並んでメジャー最多。

しかし、メジャーで4,256本もヒットを打っているローズにしてover 200はわずか10回。イチローは2,230本である。少々不思議で調べてみたら、ローズは確かに200以上打ったのは10シーズンだが、198安打が2回、192安打が一回。しかも198安打を打ったうち一度はシーズン最多安打である。これは今なら十分200安打に匹敵する数字なのではないか。

イチローのすごいのは、世間の数字や記録に対する考え方を変えさせた点にあるのだと思う。2004年に、ジョージ・シスラーの257安打というシーズン最多安打記録を更新したが(262安打)、それまでシスラーの記録を讃える人はほとんどいなかった。イチローが更新しそうになって初めて埋もれた記録が掘り起こされ、改めてシスラーにもスポットが当たったのだ。

年間200安打にしても、イチローが目標にしている数字と公言し、実際に続けているからこそ注目されるようになったのではないか。普通は3割とか首位打者とかいうものである。イチローが今季の200安打を達成した時、ローズ氏が日本からの電話インタビューに応えて、イチローを讃えたあと、「僕は198安打が2回あるんだけど、200安打がこんなに注目される記録だとわかっていたら、あと2本打っておくんだったな(笑)」と答えていた。これは負け惜しみではなく、実際にそうなんだろうと思う。

イチローは昨季まで6回、シーズン最多安打を記録している。今季も最多安打獲得の可能性は大。ローズは通算7回。これを上回った時にこそローズを超えたといえるのではないか(ちなみに、首位打者は、イチローが2回、ローズは3回。二人とも割り算には興味がなかったようだ)。

ヒットは打つが長打率が低いと揶揄する人がいる。打者によってタイプが違うのだから、それがなにか悪いのかとも思うが、ピート・ローズは通算4,256安打でホームランは160本。イチローは2,230安打、本塁打は92本。ヒットに対する本塁打の割合はイチローの方が上。

長打がなく、打たれても単打だから投手は恐れていない、結果的に甘い球が多くなる、だから打てる、という解説も目にしたが、これは変だ。イチローは足が早くて盗塁も多い。イチローが一塁にいれば、二塁を陥れられる可能性が高い。つまり二塁打を打たれたのと一緒だ。イチローが二塁にいたら、外野フライでも一点を取られる可能性がある。もし彼を三塁まで進めてしまったら、内野フライでも点を取られるかも知れない。こういう選手が塁に出ることは一番嫌がられるはずだ。

逆に考えれば、出塁率の極めて高い打者がいて、一塁に出たら二塁打と一緒で、三塁に進んだら内野フライでも内野ゴロでも本塁に戻ってこられる可能性が高い、こんな素晴らしい一番バッターを擁しながら、なぜマリナーズは勝てないのだ!!