印象が薄い「イエロー・サブマリン」

初期のアルバムだと「ビートルズ・フォー・セール」なども印象の薄いアルバムだが、本作の印象の薄さは特筆に値する。おびただしいビートルズ関連本を読んでも、たいてい華麗にスルーされている。

レコードのB面(CDでは後半の7曲)が彼らの作曲・演奏によるものではなく、ジョージ・マーティンの作曲・指揮によるインストメンタルであること、A面(CDでは前半の6曲)のうち1曲は「ラバー・ソウル」からの再録、1曲は既にシングルで販売されたもので、新曲が4曲しかないこと、などが理由としてあげられるだろう。

もっとも、「愛こそはすべて」は、今でこそアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」と重複してしまうけど、シングル曲が含まれるのはセールス的にはむしろプラスのはず。いずれにしても、リリース当時もパッとしなかったようで、彼らの全オリジナルアルバム中、1位を記録しなかった唯一のアルバムとなっている。

なんでかなー。僕は、このアルバムはB面だけでも聴く価値があると思うなー。

ビートルズのほとんどの作品のプロデュースを手掛けたジョージ・マーティンは偉大な人物として語り継がれているけど、彼自身がどれほどのものなのかはわからない。わからなかった。このアルバムを知るまでは。でもマーティンは、ビートルズ抜きでもこれだけの作品を作ることができる。それは、すごいことだと思うのだ。

It's all too muchでは久々にhand clappingが使われている。さすがに効果的に使っている。初期の頃とは段違いだ。All you need is loveは「マジカル・ミステリー・ツアー」と同じテイクだろう。

イエロー・サブマリン

イエロー・サブマリン