「の」の重複を避けるには

どうでもいいような話だが、久しぶりに書きたくなったので、反応してみる。

boseのできるだけ文中の「の」を減らすとしたらどう書き換える?「私の家の兄の部屋の机の一番上の右側の引き出しの中の日記を読んで」(2016/09/24、REVの日記)経由で下記のまとめを目にした。いろいろ案が出ているが、失礼ながら、ほとんどの案はボツだと思う。

なぜ「の」をなくしたいのか。「の」が重なると何が問題なのか。

課題文の「私の家の兄の部屋の机の一番上の右側の引き出しの中の日記を読んで」だが、聞き手は、「私の家」と聞いたところで、ふむふむ、家の話なんだな、と思い始める。それが「の兄」と言われて、あ、家ではなくてお兄さんの話か、と思う。思ったところで「の部屋」と言われて、はてさて部屋の話であったか、と思い、そこで「の机」と言われて……という事態に陥る。

「の」は簡単に言葉をつなげることができてしまうから、聞いている方も、相手が何を言いたいのかわからないまま、視点を転がしていかなければならない。途中で止めてはいけないし、転がり過ぎてもいけない。たいへんな集中力が要求される。これは疲れる。もし現実にこんな話をする人がいたら、自分だったら途中で遮って「ねえ、それって何の話?」と言いそうである。あるいは、右の耳から左の耳へと抜けるままにしておいて、最後の「日記を読んで」を聞いたところで、「あ、日記を読めばいいのね。その日記ってどこにあるの?」と聞き返しそうである。

それが問題なのである。だから、後半を「引き出しに入っている日記を読んで」に直して、これで「の」は二つ減りました、といっても、表現が変わっただけで、問題点は何一つ解決していないことになる。上記のまとめサイトにあがっているほとんどの修正案がこのバリエーションだ。REVさんはわかっていらっしゃるようだが、説明がないので、自分が解説してみた。

「兄の日記を読んで。私の家の兄の部屋の机の一番上の右側の引き出しの中」と順序を変えるだけでかなりわかりやすくなる。要は日記を読んでほしいのね、と結論がわかれば、そのあとは日記のありかを示しているのだろうから、説明を聞きながら視点を容易に移動させられるはずだ。