日米野球

つらつらとテレビを観ていた。exhibition gameとしては面白い。しかし、テレビ放映のやり方については根本的に疑問を感じる。テレビ局(4日、5日ともテレビ朝日)だけの問題というより、報道に携わる人たち全体の姿勢の問題という気もするのだが。

解説者が多過ぎる

目の前のプレイを無視してそれぞれの解説者の薀蓄(うんちく)合戦がはじまるのは勘弁してほしい。目の前のプレイを語るか、さもなきゃ黙って見てろ。

これぞメジャーのプレイ、ってどういうプレイ?

松坂や井川の移籍の問題もあり、一方では「メジャーがそんなにいいのか?」「WBCで優勝したのは日本ではないか?」などという報道も成されているというのに、この日米野球のメジャー側のプレイについて語るときは、(解説者もそうだが特にアナウンサーが)アメリカは本場であり、本場は桁が違う、という前提ですべてを語っている。すごいところをすごいというのはいいのだが、思い込みで語るのはやめてほしい。

たとえば、「アメリカの一発攻勢に、日本はスモールベースボールで対抗していますが……」と何度も言っていたけど、先制点を叩き出したのは青木のホームランだろ。6回、小笠原のレフトへの当たりは完全に抜けると思ったが、これをアウトにしたJ・ジョーンズのスーパーキャッチは、なるほど、「これぞメジャー」なんだろう。しかしその前の回、A・ジョーンズのセンターフライをキャッチし、素早くセカンドへ送球してハワードを二塁に釘付けにした青木のプレイだって見事なものだったじゃないか。一度もリプレイしてくれなかったけどさ。

なにが全日本だ

「全日本」という表記には驚いた。全日本じゃないでしょう。別に日本を代表しているわけではない。あくまで日本プロ野球の選抜チームでしょ。だから城島や井口がメジャー側にいるんでしょ。ユニフォームだって、全日本のものじゃなくて、リーグ戦で使っているものをそのまま着ているんでしょ。

日本野球機構NPB)のオフィシャルサイトでは、ちゃんと「MLB選抜チーム」「NPB選抜チーム」と書いてある。これが正しい。これはリーグ対リーグの交流試合なのだ。しかし、新聞などでも「全米」とか「全日本」とかいう表記を使っているところが多いようだ。なぜ統一しないのかな。日本プロ野球の選抜といいながら、ウッズにも李にもカブレラにもフェルナンデスにも声をかけていないから、やましいんだろうな。

プレイ中の選手に話しかけるな

試合中だというのに、ホームランを打った選手の談話を取りに行くなんて、テレビ局がいかに軽く見ているかよくわかるのだが、集中力を乱す行為であり、全く失礼なことである。それだけでも噴飯物なのに、今日は城島をわざわざブースに呼んで、解説をさせていた。

解説といっても城島に対するインタビューが主で、目の前のプレイを無視してのおしゃべりはうるさいだけなのだが(城島の話は聞きたいが、それは別の機会にじっくりお願いしたい)、いつ代打に、あるいは守備の交代を命じられるかもわからない控え選手を勝手にダッグアウトの外に連れ出して、どういうつもりなんだ! 「試合に出場するのを期待していますよ」「監督が決めることですから。僕はいつでも準備しているんですけどね」……って準備していないだろうが!

選手はよくやった

選手はよくやった。特に先発した小林投手、5回1/3を投げて6失点とはいえ、4回までのパーフェクトピッチング(6三振)は震えた。5回も、ハワードの二塁打は打ち取った当たりだし、マウアーのホームランも、テレビを見ていた限りでは、身を乗り出して球を掴んだファンのアシストによるもので、あれがなければフェンスに跳ね返って二塁打だったはず。その後のヒットは気落ちしたためもあるのだろう。弁護するわけじゃないが、力が及ばなかったわけではない。

これで三連敗でNPBの負け越しが決まったが、正直なところ、セ・パ両リーグで優勝したドラゴンズ、ファイターズからの出場選手が小笠原一人という、二線級のチームである。結果はこんなものだろう。出場者の辞退が相次いだことを野村監督は怒っていたが、なぜ辞退せざるを得なかったのか、そこを考えた方がいい。日米野球はもう終わりにすべきだ。……そういえば、来年は日韓野球日韓プロ野球スーパーゲーム)なんだっけ。嗚呼。