初期の傑作「ア・ハード・デイズ・ナイト」

前2作とはガラリとイメージが変わる。ひとつは4トラック・レコーディングになって音に厚みができたこと、特に彼らの代名詞となるボーカルのダブル・トラッキングが始まること。それと関係あるのかどうかわからないけど、ハイハットかシンバルのシャンシャンいう音がほとんどの曲で強く表に出ていて、全体的に高音部を強調した、リズムの強い感じになっていること。それから、全曲レノン=マッカートニーのオリジナル曲であること。ついでにいえばリンゴのボーカルが一曲もないこと。

このアルバムは、中学生の時に初めてお金を出して買ったレコードである。だから思い入れが深い。すべての曲を暗記して、そらで歌えるほどだ。歌詞だけではなく、ジョン、ポール、ジョージ、すべてのボーカル・パートを覚えたという意味だ(今では大半を忘れてしまっただろうけど)。

「すてきなダンス」にこんなアフリカン・ドラムの音が入っていたか? これまで全く聴き逃していた音だ。

「Tell Me Why」のラストのギターのちゅるりんという音はナニ? これもこれまで聴き逃していた音。

デビュー曲の「Love Me Do」をはじめ、前2作のアルバムではハーモニカが多用されていたが、効果的に使えていたとは思えない。が、「恋する二人」のハーモニカはすごくうまい。

こうして聴いていると、やはり傑作だよなあ、と思う。思い入れうんぬんは抜きにしても。

ハード・デイズ・ナイト

ハード・デイズ・ナイト