今週のモーニング(05/27)

今週は見どころの多い週。

ピアノの森」(一色まこと)、これまで単なるミーハー娘が年食って修平を溺愛するだけの(その程度のどうでもいい)存在であった修平の母が、強烈な存在感を主張している。2次審査終了後、夫(雨宮洋一郎)に向かってこう言うのだ。

あなたは一ノ瀬海のピアノの毒にあたってしまったようだけど、一ノ瀬のピアノは早熟なピアノなだけで……残念だけど、多分、今が彼のピークよ! その点修平さんのピアノはまだまだのびしろのある未来の明るいピアノなの! だからいちいち比べて落ち込んだりするの……やめてくれない!

彼女のいう通りである。カイのピアノが今がピークかどうかはともかく、カイと修平はタイプが違う。それに経歴的にも実力的にも、修平は既に十分一流のピアニストといっていいだろうし、修平がカイにライバル心を持っているなら、なおいっそう、「おまえの演奏は素晴らしかったよ」「父さんはお前のピアノが好きだよ」と言ってあげるのが父親たるものの務めなのではないだろうか。

クリスティナがいうように、修平ではなく、洋一郎自身が、かつての自分と阿字野を重ね、動揺しているのだろう。

それに、カイは今がピーク、というのは、案外当たっているのかも知れない。カイがショパン・コンクールに出場するのは、恐らくはこれが最初で最後。自分が世に出ていくために、阿字野に恩を返すために、カイの人生のすべてを賭けて臨んでいるはず。これほどの集中力と気迫でピアノを弾くことは、もうないのではないか。

そしてもし、阿字野の思惑通り、世界の舞台に躍り出たカイが森の端と縁が切れれば……、カイにとっての「森」が消えてしまうことになりはしないか。カイは森の端で生まれたことをさほど悲観的に考えてはおらず、前向きに明るく生きてきたが、自分で気付いていなくても精神に与えた「影」は少なからぬものがあったはずで、「森のピアノ」の正体は、そのような鬱屈した思いを昇華させたところにあったのではないか。だから、森の端を出て、真に自由で幸せな生活を送れるようになると、ピアノが弾けなくなってしまうのではないかという気がするのだ。

佐賀先生が、マリアをカイの(カイ自身も知らない)姉だと思い込むところは笑える。