國母和宏の何が悪かったのか

國母和宏は、スノーボードバンクーバー五輪における日本代表選手である。日本を出発する際(9日)、いわゆる「だらしない」とされるような緩い服装をしていたことから日本スキー連盟に抗議が殺到。これを受けてJOCは國母選手に厳重注意を与え、選手村の入村式を自粛。さらに謝罪会見を開いた。

が、その時の謝り方が、とても反省しているとは思えないもので、騒ぎが収まるどころかさらに過熱。彼の在籍する大学は遺憾の意を表明するとともに、キャンパス内の応援中止を発表。國母は開会式(13日)の出場も自粛、二度目の謝罪会見を開き、今度こそ(一応)神妙に謝罪したものの、国会でも川端達夫文部科学大臣)が批判する(15日)などの状態が続いている。

テキスト庵の専用掲示「井戸端」でも珍しくこの話題で盛り上がっていたし、僕がよく見に行くブログでも、ここ数日、この件に触れたものが多かった。

今回の件に関して個人的な意見を述べれば、僕もああしたファッションは好きではないが、自分が好きでないというだけであって、別に騒ぐような話ではないと思っている。しかし、たかが移動中のファッションごときで何で世間が(あるいは、マスコミが)あんなに大騒ぎしているかといえば、4年前のことがあるからだろう。

4年前、トリノオリンピックの際に、スノボチームは選手村の壁を壊すなどの騒ぎを起こした(壊したのは國母だとする報道もあったように記憶しているが定かではない)。それ以外にも、成田童夢はスタート前に全世界配信のテレビカメラに向かって奇声を発し、競技のあと、採点に不満で大声を上げ、今井メロは予選敗退するとスノーボードを投げつけ……。さらに國母と成田が仲間割れをしたとか、とにかくスノボチームの態度の悪さは枚挙にいとまがなく、当時の報道に接して「こいつらは何をやっているんだ」とイライラした人は多かったはずだ。

肝心の成績はといえば、國母23位、成田35位、今井は2本とも転倒し、いずれも予選敗退。日本人の最高位は中島志保の9位*1。これでは「成績さえよければいいんでしょ」というわけにもいかない。

そういう積み重ねの上に今回の事件がある。だからこれだけ厳しく言われるんだよ。世間は4年前のことを忘れてはいないのだよ。

*1:訂正:藤森由香が7位でした。申し訳ありません。