ヘッドフォンで聴くビートルズ

1987年にビートルズのレコードがCD化された時に全部買い直したのは、特に音質に期待したわけではなかった。レコードがだいぶ埃っぽくなって、シャリシャリ言い始めていたので、どのみち新しいものが欲しかったのだ。もともとが古い録音だから、CD化したからといって音が良くなるわけではない、という気持ちもあった。ところが聴いてみたら思ったよりずっと音が良く、驚いたことは忘れられない。特に「フォー・セール」のラスト曲「みんないい娘」のイントロは格段の差だった。

今回も、20年以上CDを乱雑に扱ってきて、音飛びなどが無視できなくなってきて、機会があればもう一回買い直したいとなんとなく思っていた矢先だったから、買ったのだ。音質に関しては、前回のCDレベルで十分満足している。……と思いつつも、前回同様、聴いてみたらスゴかった、という驚きがあるかも知れないなあ、とどこか期待する気持もある。

当時は独り暮らしだったから部屋で音を出すことになんの躊躇もなかった。今はそうではなく、個室もないため、聴く側の環境としてはむしろ劣化しているのかも知れない。二度目以降はともかく、一度目は、静かに、そしてアルバム単位で聴きたい(細切れに聴きたくない)。そう思うとなかなか聴く時間が取れない。

深夜、ヘッドフォンを使い、アルバム一枚ずつ聴いている。考えてみたら、ヘッドフォンを使ってビートルズを聴くのは初めてだと思う(もともとウォークマンiPodを使う習慣がないので)。ヘッドフォンを使って聴くことによる違いもあるのかなと思うが、論文を書こうというわけじゃないから、そういうことは気にしないことにする。