はっきりとものの言える元プロ野球選手

プロ野球選手で、豊田泰光ほどはっきりとものの言える人は珍しい。ある程度の実績がないと発言力がなく、ある程度の実績のある人は、コーチや監督の仕事に色気があって、周囲に敵を作りたくないから、「はっきり言わせてもらいますよ」的なポーズを取りつつも、マイルドになってしまうのは仕方ないのかも知れない。

もうひとつの見方としては、野球の技術的なことはともかく、組織や運営の仕組みとか将来像みたいなことに関して、多くの人は、そもそも知識も意見もないとか……

その豊田も74歳。「あと10年生きられるかどうかは、なんともいえません。しかし、10年後のプロ野球がとても心配なのです」と書く。10年後が心配、というのはまさにその通りだと思う。グローバル化が進んでいるのに鎖国政策に固執する日本野球に10年後があるか、僕も心配だ。

しかし、10年後も豊田には生きていてほしい。とはいえ表紙のすっかり老いた写真を見て驚いたのも事実。以前、「プロ野球ニュース」の解説者を務めていたのは、そんな昔ではなかったと思うのだが、もう20年くらい前の話か……。「10年後への遺言」というサブタイトルが哀しい。