大笑いの一週間

今週の国内のスポーツ界は、爆笑ものの事件が相次いだ。爆笑というのは否定的な意味で使っている。本当は腹が立ったり情けなく感じたりしている。

北の湖が理事に留まる

9日、大相撲は北の湖理事長が辞任することになった。過度のしごきによる力士死亡事件にも、横綱の度重なる不祥事にも、大麻所持で逮捕者が出た時も他人事のような顔をしていたが、さすがに自分の部屋の力士が大麻を吸っていたということになれば、辞めざるを得まい。辞めれば済むというものでもないだろうが、いくらなんでも続けられないだろうなあ、と思う。

ところが記事を読んで驚いた。理事「長」を退くものの、ヒラの理事には依然として留まるという。これが笑わずにいられるか。この「辞任」はスポーツ紙はもちろん、一般紙も軒並みトップの扱いである。トップで扱うべきは、理事長を辞めたことではなく理事を続けることの方だろう。

星野監督WBC監督辞退

その日の夕刊だったか、翌日の朝刊だったか、「星野監督WBC監督辞退」の文字が躍った。まさか、と思ったが、よくよく読んでみると、「頼まれても断わる」と(自サイトで)語ったとのこと。そもそも、あなたに頼む人はいませんから! 残念!*1

田沢純一メジャーリーグに挑戦

11日、今秋のドラフトの目玉になるであろう田沢純一新日本石油ENEOS)が、メジャーリーグに挑戦する意向を発表した。

NPB側はあわてて「今後はなんらかの条件整備が必要だ」と騒いでいる*2が、何を今さら。アメリカ側はもう随分前から、インターナショナルドラフトの実施を呼びかけていると聞く。そりゃそうだ。日本の優秀なアマチュア選手を(たとえば)ヤンキースが軒並み獲得してしまったら、メジャーの他の球団も困るのだ。

日本のプロ野球選手がこれだけ大勢アメリカに行きたがり、メジャーのスカウトはプロ選手だけではなくアマ選手も調査しており(甲子園大会をメジャーのスカウトが何人も観戦していることは、何年も前から報道されている)、実際、多田野数人とかマック鈴木とか茂野吾郎とか、日本のプロ未経験でメジャー入りした選手が何人も出てきていながら、何も手を打たない。こんな危機感のない組織に、なるほど自分の将来を賭けようとは思わないだろう。

*1:もっとも、多少割り引いて考える必要はあるかも知れない。読売新聞社の渡辺なる人物が、オリンピックで惨敗したあとも「星野以外にWBCの監督が務まるか?」などといった発言を繰り返していたため、それに対する牽制のつもりだったと考えられるからだ。しかし、ナベツネが監督の人事権を握っているわけでもあるまいし、公式に要請があったわけでもないのにこんなことを書くとは、自意識過剰と笑われても仕方ないだろう。

*2:日本のアマチュア選手が日本のプロ選手になるためには、ドラフトで指名を受けなければいけない。人気選手は指名が重なる可能性があり、自分の望む球団に行かれるとは限らない。いったん日本のプロ選手となれば、メジャーへ移籍するにはポスティングによるかFAを取得するしかない。ポスティングは莫大は移籍費用がかかるため、よほどのスター選手でなければ実現は難しいし、複数球団の競合になった場合、どこになるかはふたを開けてみないとわからない。FAは取得まで9年以上かかるため、全盛期を過ぎてしまうという問題がある。ところが日本のアマチュア選手がメジャーに行く場合は、何の制限もなく好きな球団と交渉できる。一応「日米は互いのドラフトの結果を尊重する」という申し合わせはあるらしいが罰則規定はなく、今回のように本人が「ドラフトでは指名しないでください」と言うようではどうしようもない。上原浩治もあの時ジャイアンツではなくアナハイム・エンゼルスに入団していれば、と思っているに違いない。