野村マジックのすべて

野村克也の本を見ると、つい買ってしまう。帯に「野村マジックのすべてを初公開」とあるが、南海の監督時代に山内と福士、江本、江夏を育てた事例など、30年前から繰り返し出てくる話。もっとも、楽天をどのように率いているか、具体的な名前を挙げてとなると、本書が初かも知れない。その点は目新しい。田尾監督がなぜ一年でクビになったのかなどは、(仮に事実としても)ここまではっきり書く必要があったのか、疑問がなくもないが、これまでマスコミ等では一切触れられなかったことであり、興味深い。

本を一冊書くというのはかなりの労力が必要と思うが、楽天の監督になってから何冊も本を上梓しているところを見ると、野球の監督業というのはよほど暇なんだなあ。それでもこんな本を著したのは、就任一年目は最下位だったが、2年目は4位。今年はAクラスの手応えがあったからでもあろう。クライマックスシリーズがあるため、Aクラスに入れれば日本一の夢も見られるからだ。事実、本書でも、今年は優勝を意識しているような記述が随所に見られる。

しかし、現実は、ダントツの最下位(9月14日現在、5位と5ゲーム差、トップとは14.5ゲーム差)。あとがきで著者は次のように書いている。

2007年のシーズン、楽天防御率はリーグ最下位だった。にもかかわらず、4位につけた。ということは、投手陣がもう少しなんとかなれば、少なくともAクラス以上を狙えることになる。そのカギとなるのは、この2年間、満足に投げられなかった岩隈であることはいうまでもない。(中略)岩隈の右腕に今季の楽天がかかっているといっても過言ではない。

ご存じのように岩隈は今年は獅子奮迅の大活躍。24試合に出場し、174 2/3回、18勝3敗、防御率1.91、勝率0.857でハーラーダービーのトップを独走するだけでなく、投球回、防御率、勝率でもトップである(9月14日現在、投球回、防御率、勝ち星の2位はダルビッシュで、172 2/3回、13勝4敗、1.93。勝率の2位はオリックスの小松で、12勝3敗、0.800)。

にも関わらずこの成績。これはいったいどういうわけでしょうか。