王貞治氏は、イチローがいうように、野球人としては偉大なんだろうけど、監督としてはどうなの？ と思う。準決勝戦のラインナップを見て驚いた。福留をスタメンから下げたのはいいとして、一番に今大会初出場の青木、イチローを三番に据える布陣だ。同じことをやっていたのでは勝てないということなんだろうが、これは納得がいかない。
韓国戦は三試合目になる。大会の雰囲気にも、相手投手にも、慣れた相手の方が有利ではないか。初出場の選手を大事なトップに持ってくるようでは、相手にプレッシャーを与えられない。それ以上に三番のイチローはおかしい。彼は返す打者ではなく、還る打者だ。福留を下げて他に三番が務まる選手がいないということなんだろうが……。
案の定というか、初回、青木はいきなり初球を打ってアウト。イチローに打席が回ってきたのはツーアウトになってから。ヒット、盗塁で二塁に進んだが、ツーアウトからではここから得点に結びつけるのは難しい。もし先頭打者だったら、ノーアウト二塁で、送りバンド、犠牲フライと、ノーヒットでも先取点をあげる確率が高かったのに。
三回も、ノーアウト一塁・二塁の場面で、西岡が三塁ライナー。一塁走者・青木が焦って飛び出し帰塁が間に合わずダブルプレー。とにかく、一番にイチローが入っていたらもっと早く先取点が取れたのではと思う場面が何度もあった。
もっとも、多村のレフトファールフライの好捕や、上原のピッチングは素晴らしかった。上原の投球は何度か（テレビで）見たけど、今回は最高だった。そして7回の怒涛の攻撃は見事。多村の送りバンド失敗を責めては可愛そうだ。ツーストライク目はスイングアウトを取られたが、あれは厳しい判定だ。本来ならボールのはず。最後、バンドの構えからの強行は指示ミス。打たせるならバンドの構えなどさせるべきではなかった。
韓国戦一勝二敗の日本が決勝進出というのは、昨日も書いたように少々後味が悪いが、6点差をつけての勝利だから、三試合の得失点を合計すると日本の勝ちになる。そう考えて納得することにしようか。
最後にもう一度。このような短期決戦で確実に勝ち抜くことを第一に考えるなら、監督は広岡か森だろう。しかし、読売球団が（あるいはナベツネが）発言力を持っている限り、それはあり得ないんだろうな。
