デニス・リッチー逝去

10月12日、デニス・リッチーが亡くなった。70歳。

彼について偉そうに語れるほど彼の業績を理解できていないのだが、まずPDP-9上で新しいOS、UNIXの開発に携わったこと。もともとミニコンは、複数の人が共同で使うことが前提であり、そうなればセキュリティについてもかなり厳格にならざるを得ない。しかし、ルールの厳密さと使いやすさは反比例する。

そこで、素人がさわるわけではない、ユーザーの技術とモラルを信頼して、もっと使いやすい管理を目指して作られたのがUNIXだ……と理解しているが、正しいかな。

その上、OSといえばアセンブラで記述されるのが当たり前なのに、高級言語で書きかえることにした。そうしてC言語を開発し、CでUNIXを記述したことによって、移植性がべらぼうによくなる。その結果、現在、ワークステーションだけでなく、MacOSiOS、携帯電話の一部やマイコン、組み込みコンピュータの大半でUNIX(およびその後継OS)が使われるようになったのだ。

もっとも、C言語が本当に高級言語かというと、個人的には疑問を感じている。アセンブラよりは高級かも知れないけど、他の高級言語に比べるとずっと低級ではないかという気がする。「OS記述言語」と思えば、それも当然なのだが。

コンピュータ業界の巨星としては、一週間前にジョブスが亡くなったばかり。ジョブスの偉大さは多くの人が理解できるが、デニス・リッチーの偉大さが理解できる人は限られるだろう。彼の偉大さが理解できる程度には勉強をしておけばよかった、と思う反面、そうした分野への勉強をはやばやと諦めたからこそ現在の自分がいる、という気持ちもあり、判断は難しい。とにかく、彼の名前を知っていただけでもよしとするべきか。

プログラミング言語C」からは、Cの言語仕様といったことよりも、ものごとに対する考え方(の一端)を学んだ気がする。「マジックナンバーを埋め込んではいけない」とか「特定の処理系に依存する書き方をすべきではない」といったことは、プログラミングの作法を越えて、仕事の進め方全般に、かなり影響を与えている。

プログラミング言語C 第2版 ANSI規格準拠

プログラミング言語C 第2版 ANSI規格準拠

過去記事

(2011/11/03 記)