5時間かけて帰宅(東日本大震災)

オフィスで夜を明かすのは初めてだ。ホテルなどとは比ぶべくもないが、緊急避難先としてはかなり快適である。まず慣れ親しんだ勝手知ったる場所であり、寒さがしのげる、電話・ネットが自由に使え、外から(僕に)連絡を取るのも、こちらから情報収集をするのもやりやすい。飲み物は豊富に備蓄があるし、何よりトイレが確保されているのがありがたい。ソファもベッドもないため、床に転がって寝たので痛かったが、その程度のことで文句を言ったらバチが当たろう。

ありがたさを実感したのは、社を出てからだった。朝、ニュースを確認し、首都圏のJR各線は7時から運転再開、山手線は8時から運転再開予定とあるのを見て、僕は山手線が動けば帰れるので、7時半ごろに会社を出て駅に向かった。

ところが、駅に着いたが構内に入れない。7時から動いているはずの電車が、実際にはまだ動いていなかった。駅に隣接してあるコンビニNewdaysは閉っているし、少し離れたところにあるセブン・イレブンは、弁当・パン・おにぎりの類はすべて売り切れ。カップめんは多少あったが、「お湯がありません」とのこと。新聞も置いていない。配送が間に合っていないのだろう。こんなことなら社を出る前にカップラーメンを食べてくれば良かった。

8時を過ぎて改札の中に入るものの、構内の人の数がすごいというだけで、状況はさほど変わらない。売店でパンと新聞を置いてあるところをみつけ、購入。情報はネットで断片的に入手していたが、改めて新聞で見ると、その大変さに驚く(新聞は見出しの大きさで重要度を伝えるため、インパクトは強い)。

結局、山手線の内回りが動き始めたのが10時ごろで、乗車制限を行なっていたためすぐには乗れず、ようやく乗れたのが10時半ごろ、新宿に着いたのが11時半ごろだった。

駅で待っている間は、とにかく寒い、お腹がすく、情報の入手といっても携帯のみ、トイレは長蛇の列で利用は絶望的、座ることができず立ちっぱなしで疲れる、などなど。会社がいかに快適だったかをしみじみ感じさせられた。特に情報環境の貧弱さは決定的。あとから調べてみると、あー、この路線は動いていたから、このルートだったらもっと早く帰れたな、というのが見つかったのだが、それはPCを使ってこそで、スマートフォンでないdocomoの携帯でその情報を得るのは(少なくとも、僕には)無理だ。ノートPCも持ち歩いてはいたけれど、座ることもできない環境で使うのは無理だったし。

だからiPadがあれば……ではなく、せっかく会社にいたのだから、間もなく運転再開します、ではなく、運転再開しました、ということを確認してから出てくればよかったなあ。そうすれば2〜3時間、再開が遅れた程度で困ることはなかったのだが。

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状況が昨夜の自分にそっくり。都心に勤める人はみんな似たような状況だったということだろう。