今週の少年サンデー(07/07)

「MAJOR」、ついに最終回を迎えた。打者編があっさりし過ぎていたが、作者としては打者・吾郎を描くつもりはなく、あのラストシーンを描くためにこういう設定を作った、ということなのだろう。

投手生命を終えてメジャーをお払い箱になった吾郎は、打者として再起し日本のプロ野球チームのレギュラーを勝ち取る。子どもに、七夕に飾る短冊におとさんの願い事を書いてね、と言われて「打者としてメジャーを目指す」と書くこと。吾郎の子どもが幼稚園で先生に「将来何になりたいの?」と訊かれて「プロ野球の選手に決まってるだろ」と答えること。この子は、連載開始時の吾郎と同じ年のはずで、これで話が全部つながったことになる。

しかし、最後の最後でちょっと設定が甘かったなあ。投手として一流の域に達せず打者に転向する選手は時々いる。こういう選手は「元投手」として守備で肩の良さを見せてくれることもあるが、肩を壊して投げられなくなった選手が打者に転向したら、普通はDHが定番。少なくとも強肩が要求される外野を守るというのはあまりにも非現実的だ。守備を描きたければ、せめて一塁手にするとか。

それに、トライアウトを受けるまでの自主トレの期間はともかく、キャンプ、オープン戦とチームに所属して仕事をしているのに、それを家族に内緒にしているのも不自然。それに元メジャーリーガーの吾郎が日本球界に戻ってきたらテレビや新聞でも相当に騒がれるはずで、気付かないはずがない。このあたりももうひと工夫ほしかったところ。

トータルで振りかえると、もともと吾郎の少年時代だけで終わりにしても良かったし、それでも名作たりえたと思う。高校時代が全くおかしな方向に話が進んでしまって、どうなることかと思ったが、そこから一気にメジャーに話を持っていったのは悪くなかった。よく軌道修正したと思う。

トシ君は結婚したのだろうか。もし彼に男の子がいて、野球をやるのだとしたら、今度こそ吾郎の息子とバッテリーを組んでほしいものだ。