1983年の少年サンデー

  • 「少年サンデー1983」(小学館

漫棚通信に載っていて(80年代サンデー、2009/07/24)ほしくなり、注文したものが届いた。

内容に関してはリンク先に詳しいので繰り返さない。僕が単行本で持っているのが「六三四の剣」、記憶にあるのが「GU-GU ガンモ」と「うる星やつら」、「ただいま授業中!」で、それ以外は初めて読んだ。

この9作品(安永航一郎も入れると10作品)はどのように選ばれたのか。若手ばかりが選ばれている。まあ、あだち充新谷かおるは既に10年以上のキャリアがあり、若手ではなかったかも知れないが、当時のサンデーには、石森章太郎池上遼一梶原一騎などの大御所もいたのに。物故者ははずすとしても、看板作家の池上遼一を外したのはどうした意図だろう。

よくできた本で、十分値段なりの価値はある。なつかしく読んだが、欲を言えば、もう少し前の時期が良かった。僕の中では、このころのサンデーは既に「ピークを過ぎた」と思っていたからだ。

「男組」の後半から池上遼一の絵が荒れだして、「星雲児」の頃はなんの魅力も感じなくなっていた。あだち充は少女漫画にあれこれ描いていた頃が最高で、小学館では増刊サンデーの「ナイン」が最後の輝きで、「タッチ」の頃はのっぺりとした顔で何の表情も感じられなくなっていた(個人的に「牙戦」が傑作だったと思うのだが、なぜかいまだに単行本化されていない)。「柔道讃歌」などで沸かせてくれた梶原一騎も、「プロレススーパースター列伝」が最後の(完結した)作品で、なんとなく終末的なイメージを受けていたのだ。

一方細野不二彦などはこの頃が全盛期だったかなとも思うが、個人的には「GU-GU ガンモ」よりその前の「どっきりドクター」の方が(細野らしくて)好きだったし。

なぜ1983年かというと、この年がサンデーが最も部数が出たから……と説明されているが、具体的に何部出たのかは何処にも書かれていないのが笑える。

少年サンデー1983 2009年 8/15号 [雑誌]

少年サンデー1983 2009年 8/15号 [雑誌]