かける数とかけられる数

小学校で、6×4=24と解答すべきところを4×6=24と解答したところバツになったがおかしいのではないか……という話があちこちで盛り上がっている。昔から忘れたころに盛り上がる話題のような気がするが、僕の目に触れる範囲では、過去にないほど盛り上がっているように思われる。ブログやツイッターなどの登場で誰でも気軽に発言できるようになったことも盛り上がりの一因であろうか。が、実際に返却された採点済みのテストの写真などを見ると、十分な説明がないまま、容赦のない減点が学校では行なわれているようであり、これを目にした人がひとこと言いたくなる気持ちはわかる。

こういうことは素人の間で意見が分かれたとしても、専門家が出てくれば終わりかと思うのだが、見ていると、専門家もしくはそれに準じるような人の間でも意見のずれがあるようだ。ただし、どうも議論の進め方に気になる点がある。

  1. a×bとb×aは、区別することに全く意味が(あるいは、必要が)ないことなのか? それとも、本質的には(あるいは、立場によっては)違いがあるのか?
  2. 仮に違いがあるとして、その違いは、小学生に理解を求めるようなものなのか?
  3. 仮にそうだとして、a×bとすべきところをb×aにしたらバツ、という採点方法は妥当なのか?

1〜3はそれぞれ別のレイヤーだ。だからごっちゃにして語ると問題点が見えなくなる。

僕自身は、「4人の子に飴玉を6個ずつあげたら何個必要でしょう?」という問題を式にするなら6×4が自然だと思う。これを4×6と置いてしまうと、若干の気持ち悪さを感じる。そして、掛け算の意味をちゃんと説明し、それを素直に理解する児童なら、それはわかると思うけど、そういう児童は一部だろう。わからないからといってバツにするのは、いくらなんでもやり過ぎだ。4×6と置いた時の「気持ち悪さ」は、バツにしてよいだけの説得力を持つとは思えないからだ。