NHK「100分de石ノ森章太郎」

NHKで「100分de石ノ森章太郎」という番組をやっていたのでつい見てしまった。なかなか面白い番組だった。司会が伊集院光島津有理子、ゲストがヤマザキマリ夏目房之介名越康文宇野常寛の四人。もともと「100分de名著」という番組があり、今回はそれの特別版らしい。

ゲストがそれぞれ最高傑作と思う作品をと言われた時に、自分だったら何かな、「おかしなあの子」かな……と思ったら、トップバッターのヤマザキマリが、まさにこの作品をあげてくれたのですごく嬉しかった。ただし、見せてくれた単行本はずいぶんあとになって再発されたもののようだが、僕はオリジナルのサンコミックス版を持っているよ(自慢)。

作品の魅力を何人もの人がいろいろ言っていたが、僕がこの作品を好きな理由はただひとつ、エッちゃんがかわいいからだ。そのあと「サイボーグ009」の話が出て来て、やはり何人もの人がさんざん解説をしたあと、夏目房之介が「いやもう、ただただ、カッコよかったですよ。それに尽きます」と言って100の評論を一瞬で黙らせていたけど、それと同じかな。

サイボーグ009」では、僕が非常に印象に残っているシーン、ギルモア博士が008の肌を勝手に鱗に変えてしまうエピソードが取り上げられたのも嬉しかった。番組では、ますます人間離れしてしまったと落ち込むピュンマをハインリヒが慰めるシーンがクローズアップされたが、僕が印象に残っているのはこの時のギルモア博士の態度なのだ。

ギルモア博士はピュンマから、感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いはないと思い込んでいたようで、非難するフランソワーズに対して「だって、しょせん黒い肌じゃないか!」と怒鳴る。それを聞いたフランソワーズは激怒。「彼は黒い肌に引け目を感じたりはしていません!!」

45年前にこの場面を読んだ時、差別とはこういうものかと、子ども心にも思ったものだ。
(2019/1/7 記)