安岡章太郎死去

1月26日、芥川賞作家の安岡章太郎氏が老衰のため死去。92歳。

高校1年生の時の現代国語の教科書に、安岡章太郎遠藤周作北杜夫の文章が掲載されていた。いわゆる「第三の新人」というと北杜夫は含まれないが、この三人は芥川賞作家であること、純文学とユーモアエッセイというふたつの顔を持つこと、ぐーたらであること、怠け者であることを売りにしているという点で共通しており、よくひとまとめて語られることも多かったと記憶している。

この時、国語の教師が、「怠け者だといったって、彼らはやる時はやっているんだよ。そこを間違わないようにな」と言ったことが今でも強烈に印象に残っている。ああ、この先生は彼らの作品をきちんと読んだことがないんだろうと思ったのだ。いや、安岡や遠藤は僕もほとんど読んでいなかったけど、北杜夫に傾倒していた僕は、彼の精神をこの先生は全く理解していないと思ったのだ。

安岡と遠藤は慶応義塾、北は東北大学と、進学という意味では、確かに超一流大学に進学しているわけだが。

自分の通っていた高校はいわゆる進学校で、成績にはうるさかったが、教師の中には成績のよしあしと人格のよしあしは関係ない、人生のしあわせとも関係ない、という人は何人もいた。しかしこの国語の先生は、成績の悪い奴は何をやってもダメという考えだった。この先生が読むと、安岡もこう読めるのかと……

もっとも、僕も安岡章太郎は結局教科書に載った作品以外は全く読まなかったのだけど。

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