出口調査キライ

何十年も選挙に行っていると、出口調査にも何度か当たったことがある。が、その都度無視するか、断わってきた。誰に投票したか、どの政党を支持するかということは、軽々に人に訊いていいことではないし、口にするべきではないと思うからだ。

投票の秘密がなぜ憲法でも保障されているのかというと、それが守られないと贈収賄や脅迫が横行するだろうから、それを排除するためだろう。

もちろん言いたくない人は言わなくてもいい、ということであり、言いたい人は言っても構わない。言ってはいけない、ということではない。しかし、大テレビ局や大新聞社が、人前でこういうことを堂々と訊き、嫌がる人に対して、公的な調査に協力しないのですがひねくれ者ですね的な視線を投げかけることは絶対にあってはならないと思う。喋らざるを得ないような雰囲気ができてしまえば、結局、選挙の秘密が守られなくなる怖れがあるからだ。

それともうひとつ、最近は開票率0%で当確が出たりすることも珍しくないが、これほど「投票」という行為をバカにしたものはないのではないか。開票しなくても当選かどうかがわかり、最後まで開票しても結果が変わらないのであれば、選挙自体が無意味なことになってしまう。もちろんそんなことはないのだが、そういうイメージを強烈に植えつけることにつながっていると思う。ああいうのを見せられると、投票率が下がるのも当然だと思う。

たとえば比例の名簿の上位に名前があれば、確実に当選するだろうことは、何も出口調査の結果を待つまでもなく、僕でもわかる。だからといって前日に当確を出すか。それは出さない。開票の瞬間に出す。おかしな話だと思う。だったら、開票率が100%になってからとは言わないが、20%とか30%とか過ぎるまでは当確を出さないのが節度というものではないのか。

開票後、少しでも早く当確を出すために、出口調査にも熱が入る。そうした点も、出口調査とやらに胡散臭さを感じる大きな理由になっている。

候補者も、いちマスコミの当確を真に受けて万歳三唱したりせず、「選管からの当選通知を待ちます」というくらいの矜持がないものか。