丸谷才一さんが亡くなられた

10月13日、作家の丸谷才一さんが亡くなられた。心不全。87歳。先日亡くなられた大滝秀治さんと同い歳。

記事によれば、今月上旬に体調を崩して入院したということだから、ほとんど苦しまずに済んだということだろう。

以前から同業者の方の訃報に接するたび、丸谷氏はお元気かと気を揉んでいたのだが、ついに来るべきものがきてしまった。

氏の著書で初めて読んだのは「日本語のために」。中学生の時だったと思う。ことばというものに対してここまで真剣に向き合っているのか、というのが強い印象に残った。以後、エッセイや評論を読み漁ることになる。また、ハタチくらいまでプライベートに書く文章(学校の試験とか提出物以外、という意味)がすべて旧仮名になったのはもちろん氏の影響である。

丸谷氏に教わったことは数多いが、「文章を書く時、冒頭で、『私は本当はこんなことは書きたくないのだが』などと書くのは絶対にダメー!」というのは忘れがたい。プロの作家でもこういう人、多いけどね。

完本 日本語のために (新潮文庫)

完本 日本語のために (新潮文庫)

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