スティーブ・ジョブスが引退 (2)iMacよりCube

ジョブスがアップルに復帰して、最初に出した製品がiMacだったと思う(1998年)。これは最初のi製品でもあったわけだが、これが大ヒットしてアップル社は一息つき、ジョブスは足元を固めて次の手が打てるようになった。iMac自体も売れたようだが、あのスケルトンのデザインがとにかく受けた。ある時期、ショップに行くと、マウスやキーボードはもちろん、電源ケーブルや各種文具に至るまで、なんでもかんでもスケルトン、という時代があった。確かにジョブスは世界を変える力がある、と感心したことを昨日のことのように覚えている。

しかし、あのデザインの何がいいんだろうなあ? 当時も、そして今に至るも、僕には全く理解できない。歴代のMacのすべてがカッコいいとは言わないけど、iMac(初代)だけはずばぬけて醜悪だったのではないか。まず第一にあのスケルトンがいかにも安っぽかったし、ボンダイブルーと呼ばれたあの色も妙にくすんだ感じで、安っぽさに拍車をかけていた。その後、色が増えても状況は全く変わらず、Macintoshのイメージがどんどん崩れていくのを苦々しくさえ思っていた。

もっとも、フロッピーディスクドライブやシリアルポートを廃し、USBのみとすることで、USBが一気に普及した。これは今にして思えばiMacの大きな功績だろう。

翌1999年、フルモデルチェンジされた二代目は、材質も変わり、色も落ち着いた感じになって、ぐっと高級感が……というほどではないけれど、安っぽさは消えた。やはり、だんだん洗練されてくるのである。

自分としては、2000年に登場したG4 Cubeを見たときに打ちのめされた。これこそが正統派Macintoshの系譜を継ぐ新世代の製品であると思った。これは買おうかどうしようか結構迷ったのだが、迷っているうちに、廃熱がうまくいかずトラブルが多いという噂を聞いて買うのをやめてしまった。チキンなワタシである。

トラブルがあるとかないとか、そんなことを選択基準にするなんて自称「マックな人」にあるまじき行為である。デザインが気に入ったのなら買えば良かった。トラブルで、あるいはコンピュータとして旧式になって、使えなくなっても、永遠にインテリアとして愛でていられたであろうに。