不計画停電だろう

前日の夜に、首都圏のエリアを5つに分けて、輪番制の計画停電を行なうというニュースを聞いた。正直、そこまでやらないといけないのか、と思ったが、そこまでやらないといけない事態のようだ。勤務先が停電になるようなら出社してもやることがないが、エリア分けの資料を入手して調べてみると、計画停電の対象から外れている。自分の住んでいるエリアがいつ停電するのかがよくわからないのだが(第2グループと第5グループのふたつの区分がなされていた)、どうせ昼間は会社に行っていて誰もいないのだし、あまり気にしないことにした。

蝋燭(ろうそく)を探し出して並べておき、飲み水の汲み置きを増やし、風呂場の水を流さず貯めておき、朝のうちにご飯を多めに炊くよう準備する。交通情報をチェック。一部エリアでは間引き運転が続いていたものの、とりあえず大きなトラブルは解消したようだ。これなら翌日の出勤も問題ない、ということを確認して寝た。

朝、小田急線の最寄り駅まで出かけると、駅の周りに人だかりがしている。なんと、新宿−経堂間のみ運転し、それ以外の区間は運休なのだという。もちろん僕の利用駅は「それ以外の区間」にある。復旧の見込みは、というと、今日は終日運休なのだそうだ。計画停電は住宅地のみと思い込んでいたが、私鉄も影響を受けるのだ。なんてこった!

ここでは情報がつかめないため、いったん帰宅。ネットであれこれ検索してみるが、会社までたどりつくのはなかなか難しそうだ。自動車で行くことも考えたが、恐らく道路はかなりの混雑だろう。出勤を取りやめ、自宅勤務も考えた。実際、明らかにそれが認められる状況ではある。が、どうしてもこの日は出社する必要があった。

というのは、ホワイトデーのプレゼントをどうしても渡したい人がいたからだ。……というのは嘘で、12日に帰宅する際、極力荷物を少なくしたかったためにノートPCの電源アダプターを置いてきてしまったのだ。メールだけなら自分のPCで取れるし、この週末は仕事をする気は初めからなかったので、必要ないと思ったのである。

実際、報告書を一本書いただけで、週末はそれで十分だったのだが、終日仕事をするとなるととてももたない。会社のネットに接続する関係上、個人PCというわけにはいかない。

それで、バスを乗り継いで東急線の駅まで出、そこから渋谷に向かったのだが、間引き運転をしている関係で列車はものすごい乗車率であり、おまけにしばしば止まってしまう。結局、会社に着くのに3時間ほどかかった。着いた時にはぐったり疲れていた。

その後、いろいろ聞いてみると、東京電力からの要請を受け、各鉄道会社が運休もしくは減速運転などの内容を発表したのは深夜の3時頃だったらしい。翌朝出勤のサラリーマンは、そんな時間はみんな寝ているがな。みんな何も知らずに駅までいって、運休だということを初めて知ったわけ。そりゃあ怒りますって。

しかし、とにかく今日でわかった。ルートも確認できたので、あとはバスの時刻を調べ、その分早めに出てくればいい。と思ったら、停電のエリアや時間帯は毎日変わるといい、15日の分は「なるべく夕方までには決める」とか。なんてこった! 止まってもいい、止まってもいいけれど、せめて毎日同じ時間にしてもらえないか。

懸念された家庭の停電も、結局実施しなかったらしい。当初の予想より供給量が上回ったことと、消費量が抑えられたため、停電をする必要がなくなったことが理由。まあ、鉄道各社がこれだけ率先して節電をしたから、それで余裕ができたのだろう。(付記、夜になって一部実施した。)

家庭だってどこだって、電気が止まれば困るけど、鉄道は非常に重要な社会的インフラであり、これが止まると生産活動が止まる。日本の国力が落ち、そうなれば当然、被災者に対する援助などもできなくなる。鉄道は止めるべきではない、という意見をあちこちで聞いた。まあ、僕もそう思わないでもない。

こういう事態だから多少の不便は仕方ないが、言っていることがころころ変わるのは困る、はっきりとした方針を示してもらいたい、という意見もあちこちで目にし、耳にした。これまた、僕もそう思わないでもないが、まあまあ、東京電力にしたって未曾有の出来事で、前例のないことをやろうとしているのだ。不手際があっても責められないだろう。この状態が一ヶ月も繰り返されるとは思わないから。

ただ、「計画停電」という言葉を聞くと、ちょっとムッとする。「不計画停電」じゃないのかネ。