- 「親分」大沢啓二さんが急死、元日本ハム監督(読売新聞、2010/10/07)
大沢啓二、というより大沢親分、といった方が馴染みがあるか。親分が亡くなった。
ちょうど野村克也の「野球は頭でするもんだ!」(朝日文庫)を読み返していたところだったのだが、これは野村が現役を引退した翌年(1981年)から週刊朝日に「プロ野球 野村克也の目」として連載されたコラムをまとめたものである。この年は親分率いる日本ハムファイターズが初のリーグ優勝を遂げた年でもあったため、大沢に関する記事も何度か出てくる。懐かしく思っていた矢先の訃報だっただけに、なんともいえない巡り合わせを感じた。
今回、逝去を報じる記事を読んでいて、巨乳タレントの大沢あかねが孫だと知って驚いた。というか大沢あかねという人を初めて知ったのだが、タレントの孫がいたことに驚き、どんな人か画像を検索して胸の大きさに驚いた。ネットの記事には「大沢あかねの胸の大きさに『喝!』」みたいなのがあったから、見るところはいっしょなんだな。
大沢あかねは劇団ひとりの妻なのだった。劇団ひとりは以前からよく知っているし、彼の結婚相手が、そういえば元プロ野球選手の子どもだか孫だかといっていたっけ。
ファイターズの監督を務めていた頃は大沢親分のファンで、1981年の優勝も一緒に喜んだクチである。特に、翌1982年の広岡新監督率いる西武ライオンズとの遺恨対決は、パリーグを盛り上げてくれ、楽しませていただいた。もっとも、球団常務になったあと、自分の連れてきた監督が不成績で辞任すると、その後釜として自分が再び監督の座に就く一貫性のなさや、最下位になったからといってファンの前で土下座するような時代遅れのパフォーマンスは、だんだん鼻につくようになった。
近年の評論家としての活動も苦々しく思うことがあった。球団運営に関しては旧態依然とした考えが抜けず、しかも大上段に物を言う姿勢は、問題があると感じるからだ。もっとも、それは大沢自身の問題というより、彼を起用するメディア側の問題なのだろう。大沢は期待値に沿って自己演出していただけなのかも知れない。
「サンデーモーニング」でスポーツライターの玉木正之を槍玉にあげたことがある。玉木も怒り、自分を番組に出演させ(て発言の機会を与え)るか、大沢の謝罪を、と要求したが、TBS側はうやむやにしたそうだ。これは現在の日本プロ野球の問題(の一部)を如実に表わしているように思える。
つまり、たかだか監督をちょっと務めた程度の人間が、球界の外の人間に対して、テレビという巨大なメディアを通じて居丈高な発言をすること、テレビも、話題集めには奔走するが、問題が起きても責任を取らないこと、要するに、テレビ側から見た場合、野球も視聴率稼ぎのコンテンツのひとつに過ぎず、スポーツ文化の振興なんて少しも考えていないこと、そうしたメディアの宣伝媒体に成り下がっているのが今の日本プロ野球の現状ではないか、ということだ。
大沢が亡くなって、ひとつの時代が終わった、といえるだろうか。

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