「僕はビートルズ」(藤井哲夫、かわぐちかいじ)、音楽という糧があったにせよ、21世紀に育った若者が1961年の日本で生きていかれるものなのか。トイレはどこへ行っても汲み取り式、果物はすっぱく、マクドナルドをはじめとするファーストフードは影も形もない。コンビニもなければゲーセンもなく、どこへ行っても煙草を吸う人だらけでヤニ臭い。エアコンもなく、服装はダサく、緑は少なく、川は濁っている。ひところで言えば「不潔で、臭くて、遅れている」。数日程度の滞在ならともかく、ここで生活する(せざるを得ない)となったら、当時を知る自分でも我慢できないと思う。そういうことに対する生理的な嫌悪感が描かれていないのは片手落ちな気がする。それが焦点でないのはわかるけど、過去にタイムスリップするというのは、そういうことと無縁ではいられないのに。
「島耕作」(弘兼憲史)、久々のオフ、だそうだが、島はいつでも休んでばかりいる印象が拭えない。いつ仕事をしているのだ? というか、そもそも島は仕事をしているのか?
「特上カバチ!」(田島隆、東風孝広)、重さんが登場するとは思わなかった。大野と重さんはこの頃からの付き合いなのか。それにしては今、上下関係があり過ぎる気がするが……。
「ビリーバット」(浦沢直樹)、もう何が何やらワケがわからない。
「天才 柳沢教授の生活」(山下和美)、この作者は、なんでこんなに素晴らしい話を考え付くんだろう。柳沢教授の奥方は、いつも教授のことを「お父さん」と呼ぶのに、最後に「ヨシノリ」と呼びかけるところはなんとも可愛らしくて、とてもチャーミングだ。これで絵がもう少しうまければ……
「ネコメンデス」(クロヌマキヨシ)、漫画オープン大賞受賞作。まあ面白かったけど、なんで調査員がラーメン屋のおやじを殺そうとするのかがわからない。ダシの秘密を探られそうになってラーメン屋が調査員を殺す、というのならわかるけど……
「アンサンブル」(谷島冬実)、一話ごとにつまらなくなって最後が一番面白くなかった。沖が朝野を好きだという設定はどうなったんだ?
- 作者: 山下和美
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