次世代スーパーコンピュータの愛称は「京」。こんなの誰も使わない

このスーパーコンピュータは自分の仕事にも関わりがあるのだが、愛称が決まっていたとは知らなかった。明後日の学会で話題になるのかも知れないが……

しかし、この名前はよくない。なぜ理研はこんなものを選んだのか。恐らくこの名称は、理研の作成する公式書類と一部のマスコミにのみ使われるだけで、関係者は誰も使わず、早晩、別の通称で呼ばれるようになるだろう。

なぜよくないかというと、短過ぎて引っかかりがなく、同音異義語が(英語も含めて!)多過ぎて、この名前だけ聞いてもそれが次世代スーパーコンピュータのことだと認知できないからだ。「京によれば……」とあってもそれだけではわからないから、結局「次世代スパコン『京』では……」のようにせざるを得ず、シンプルどころか却って面倒なことになる。その上、単独で検索キーワードになり得ない。これは今の世の中で致命的なのではないか。

現在トップのスーパーコンピュータは「地球シミュレータ」という*1。一見長いようだが、「地球シミュレータ」といえばアレのことだというのは(それを知っている人なら)誰でもすぐにわかる。名称に意味とストーリーがあるので覚えやすい。ネットで検索すれば関連情報がすぐに見つかる。これが大事だ。

名前は「他と区別する」ことも重要。短ければいいわけではないのだ。

*1:この稿を書いたあとTOP 500のサイトを確認したところ、地球シミュレータは昨年11月までは国産トップ(世界31位)だったが、今年6月のリストでは2位になっていた。トップは富士通のBX900。もっともこれでも世界22位である(地球シミュレータは37位)。US勢が強いのはともかく、2位のNebulae、7位のTianhe-1が中国、15位のTachyonIIが韓国(ただし製造はSun Microsystems)……とあるのを見ると、アジアの中でも今の日本の国力はこんなものなのかと、残念である。