八丈島へ行くなら/八丈島旅行(7/10)

今回は出かける途中でガイドブックを買うなど、下調べを何もせずに臨んだようなもの。まあ季節がら、ホテルで缶詰めになるかもと思っていたので、その割にはいろいろ見られた方だと思うが。次回に行く時のために整理。

八丈島は小さな島だが、歩いて一周できるほど狭くはない。一応目抜き通りはバスも走っているが、本数が限られており実用性は薄い。従って足をどうするかがまず課題になる。

レンタカーは、軽だと一日3,800円という案内が港にあった。これを二日間借りるとすると、今回僕が遣ったタクシー代の総額とほぼ同じ。レンタカー、レンタバイク、レンタサイクルなどはあちこちでやっている。レンタサイクルだと6時間で2,500円とか。問題は、こうしたサービスはほとんど三根(みつね、底土港のあるエリア)にある、ということだ(大賀郷にもあるらしい)。レンタカーの普通車以上だと送迎があるようだが、軽やレンタサイクルの場合は送迎はない。従って、こうしたサービスの拠点までの移動が、次の問題である。僕の泊まった「シーパークリゾート」は底土港から約3km、気合いを入れれば歩けない距離ではないが、ふらりと行かれる距離ではない。

朝食は宿が便利でも、夕食はホテルだと高い。地元の飲食店や居酒屋などで食べた方が価格もリーズナブルだろうし、自分の好みでいろいろ選べる。となると、宿泊地から気軽に行かれる距離に飲食店が固まってあることが望ましい。つまり、三根、大賀卿のエリア内で探した方がいいのではないかということだ。

もっとも、目的にもよる。オプショナルのツアーを組んでしまうつもりなら、送迎もあるだろうし、レンタカーを期間中借りてしまえばどこへでも行かれることになる。また、シーパークリゾートでもレンタサイクルはやっていた(それに気付いたのは今朝だったが)。とにかくタクシー移動は非経済的だ。とはいえ、今回書いてきたように、タクシーの運転手さんからはさまざまな情報を入手したので、そういう点では大いに意味があったともいえる。

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今日は朝から強い日差しが覗いていた。旅行中最も(ずば抜けて)天候が良いが、朝食後、すぐに帰らなければならない。港まではホテルの自動車で送ってもらう。海岸は、海水浴場ということになっているが、黒いごつごつした岩が続いている。

「この黒いのは、みんな溶岩ですか」

「そうですね。八丈島には基本的に砂浜がありません。ここいらの底土海水浴場にある砂は、わざわざ運び込んだものなんですよ。でもいくら運び込んでも、どんどん流されちゃいますね」

「こんなごつごつした岩が出ていたら、ぶつかったら痛いし、泳ぐのはちょっと厳しいかも知れませんね」

「でも砂がないということは、水が濁らないですから、透明度が高くてとてもきれいですよ。ダイビングとかね、シュノーケリングとかやると、きれいな魚がたくさん見られますよ……」

「うん、せっかく来たんでちょっと泳いでみたかったですけど、泳ぐには少し寒いんで今回は諦めました」

「例年なら7月は海水浴の季節なんですけどね……。本州もすごいと聞きますけど、八丈島でも今年は異常気象で。先週はものすごい豪雨でしたし、飛行機も半分欠航しましたし……。今も気温はともかく、ちょっと風が強いですからね。濡れると寒いから、泳ぐのは難しいですね」

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八丈島滞在はこれで終わりだが、帰りの様子を少し記しておく。

出発は10時。来た時は、三宅島を過ぎてから揺れ出し、2時間くらいひどい揺れが続いていた記憶がある。八丈島から三宅島に向かう間、いつから揺れ始めるかが問題だな、と思っていた。船の中で酔い止めの薬を買い、出航直前に飲む。

ところが、出発した途端に大きく揺れ出した。これは誤算だ。この状態が三宅島までずっと続くのか? 1時間ほど我慢して寝転がっていたが、たまらずトイレへ。朝食を吐く。デッキへ出れば気分が紛れるかと思ったが、波のうねりがすごく、船が上下に揺れるのが目に映るとますます気持ち悪くなってくる。再びトイレへ。部屋へ戻り、せっかく飲んだ薬を吐いてしまったため、再び飲み、横たわる。全く二日酔いと同じで、ひたすら耐えるしかない。病気ではなく、時期がくれば治るのはわかっているため同情は引けないが、その瞬間は大変な苦しみであるのも共通。1時間ほどはそのまま我慢したが、再び耐えきれずにトイレへ行き、大量に吐く。

部屋へ戻って少しうとうとしていたが、気がつくと、揺れは収まっていないのに、気分はすっかり落ち着いている。薬が効いてきたのか? 身体が慣れたのか? 気分が収まってしまえばさっきのはなんだったんだ、ということになるのも二日酔いと似ている。14時過ぎ、三宅島を過ぎてからはほとんど揺れなくなり、天候もよく、後半は快適な旅となる。

さて、来た時は和室で雑魚寝とはいっても隣の人との間が空いていたからまだ良かった、と書いたが、今回は隣に人がいる。しかも若い女性だ。デッキは風が強いし、座るところもないので、長時間はいられない。少なくとも本を読んだりはできない。基本的に自分のスペースですわったり寝転がったりして過ごすしかないわけだが、見知らぬ女性と、息がかかるくらいの距離で一緒に寝転がっているのも気まずいものがある。

食堂へ行ってみると、ほとんど人がいない。お昼時になって営業を開始したむねの館内放送が入ったが、客はポツリポツリという感じで、たいして多くもない席の半分も埋まらない。そこで、何も注文しないけれど(お腹が空いていたが、すぐに胃に何か入れるのはやめた方がいいだろう、と判断した)、食堂の隅に陣取って、ずっと本を読んだり、PCを立ち上げて旅行記を書いたりした。机があるというのはいいものだ。

食堂の営業時間は限られているが、時間外でも、ポテト、焼そば、おにぎりなどのメニューは自動販売機で入手できる。夕方、体調も完全復帰したので焼そばを食べる(400円)。量は少ない。

夕方18時過ぎ、房総半島が見える頃、携帯で電話している人がいた。もう通じるのかと思って試してみると、ソフトバンクはちょっと無理だったが、なんとe-mobileが通じる。つまりインターネット可能。とりあえずブログも古い記事から順にアップ。その後、PCの電源が尽きたためインターネットはいったん終わりになったが、東京湾へ入ってきたあたりからソフトバンクの携帯も通じるようになり、日常が戻ってきた。竹芝には予定通り21時に到着。

その後、浜松町からいったん上野に行き、富士そばでラーメンを食べる。はっきり言って、富士そばのラーメンはうまいと思う。しかし、富士そばは全国いたるところにあれど、ラーメンをメニューに入れているところは極めて少ない。僕の知る限りは首都圏では上野だけである。そこで、わざわざそのラーメンを食べに行ったわけ。

船は往復ともちょっと苦しんだが、また乗ってみたい。さるびあ丸は約5,000tだが、父島へ行くおがさわら丸は6,700t、ひと回り大きい。これくらいあれば、黒潮ももう少し楽に通り抜けるのではないか。今度は父島だ。