- 赤坂英一、「キャッチャーという人生」(講談社)
野村克也が楽天イーグルスの監督としてぼやき全開の弁舌をふるい、人気が急上昇すると、(若き日の)野村こそが捕手の理想である……というような雰囲気が生まれ、野村とはタイプの異なる捕手があまり評価されない風潮が生まれたのは、ちょっと行き過ぎがあったと思っている。内野手や外野手は、難しいゴロをさばいたとか、外野から好返球をしたとか、ファインプレーも目に留まりやすいが、キャッチャーのファインプレーはわかりにくい。里崎とか谷繁とか、もっと評価されていい選手だと思うが、実力に比べて脚光を浴びることは少ない、と残念に思っていたところ、そうしたキャッチャーにスポットを当てた本が出た。
里崎智也、谷繁元信、達川光男といった一流選手から、村田真一、大久保博元、山中潔など、ある時期は活躍したけど、長い目で見れば捕手として一流だったとはいえない選手まで幅広く取材している点がいい。野球の奥深さが感じられる本だ。
華やかな記録だけを羅列したものではない。中でも、特に時間をかけて取材したのは村田と思われる。知らなかったのだが、村田の人生もかなり壮絶である。「キャッチャーという人生」という言葉はまさに村田に対するものだろう。
伊東勤、古田敦也、城島健司といったビッグネームを敢えて外してある点も興味深い。
- 作者: 赤坂英一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 単行本
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