このシリーズには結構いい加減な記事が多いことはわかっているが、たまたま手許に本がない時にKioskで目にすると、つい買ってしまう。買えば夢中で読んでしまう。再読はほとんどしないのだけど。
ひとつ、江本孟紀がタイガースを辞めた時のことがこんな風に書いてあったのが気になった。
……江本が、ロッカーに引き上げる際に、感情的になって「ベンチがアホやから野球がでけへん」と発言したと翌日の新聞各紙が報じ、事態を重く見た球団が、江本を事情聴取し……
翌日の新聞にこの見出しが躍ったのは事実だから、本書では間違ったことは何も書いていない。が、これを読んだ人は(当時の新聞報道に接した人と同様)、江本がそんなことを言ったんだな、と信じてしまう。
何度でも書くが、江本自身は「そんなことは言っていない」と当時、何度も述べている。真相は藪の中だが、「ノックアウトされた直後で腸(はらわた)が煮えくり返っているピッチャーが、「ナントカが、ナントカだから、ナンである」などと理路整然としたセリフを口にするわけがない」という説明の方が説得力がある。おまけに、その場には数人の新聞記者しかいなかったはずなのに、なぜすべての新聞で同じ見出しが並んだのか。恐らく(その場にいなかった記者も含めて)記者諸君が「江本がこう言ったことにしよう」と「捏造」したのだろう、と……
これに関しては、「アホ」と言われたことになっている当事者の中西監督までが、江本を支持している。江本の言い分がすべて正しいかどうかはともかく、せめて、「江本本人は発言を否定したが、騒ぎが大きくなり、収拾がつかなくなった。結局、世間を騒がせた責任を取る形で江本の任意引退が決まった」くらいの書き方はできなかったのか。
- 作者: 別冊宝島編集部
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2009/12/05
- メディア: 文庫
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