最高傑作が出た「リボルバー」

僕がビートルズを聴くようになったのは彼らが解散してからであり、入手する資料のほとんどは彼らの解散後に作られたものだから、致し方ないのだが、なんでも結果論になってしまう。「リボルバー」について書こうと思えば、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のひとつ前のアルバムだったということを意識せざるを得ない。そういう視点に立てば、「Eleanor Rigby」は「She's Leaving Home」の前兆であり、「Love You To」は「Within You Without You」の露払いであり、「Tommorow Never Knows」は「A Day In The Life」を予感させる曲だということになる。

ずいぶんあとになってからだが、友人が、1966年に発売されたレコード(日本版)を持っているので見せてもらったことがある。ライナー・ノートに「これはビートルズの最高傑作だ」と記されていたのだ。そうだよね、リアルタイムの人にとってこのアルバムは、次に最高傑作が出ることを予感させる作品ではなく、これが最高傑作だと感じられたはずなのだ。

もうひとつ、このアルバムを以てコンサートを中止する。が、それもあとからわかった話であり、アルバム発売の時点ではファンはそんなことは夢にも思っていない(ちなみに、アルバムのタイトルは、日本公演で来日した時に日本の警官がみなリボルバーを持っていたことからつけられたそうだ)。このアルバムをリアルタイムで聴いて、こんな曲はステージでは再現できない、だから、彼らはコンサートをやめるつもりなんだろうと想像した人はいなかったはず。

このアルバムには好きな曲が多い。どのアルバムにも好きな曲はあるが、これまで7枚を順に聴いてきて、このアルバムの曲はひとつひとつがとても力がこもっているという印象を受ける。

リボルバー

リボルバー