男の子と男親

父と息子の場合、母と娘ほど距離感が近くなることはあまりないのだろうか。

女性同士の友だちというと、連れ立ってショッピングやらイベントやらに出かけたり、服やアイテムを貸し借りしたりするというようなことをよくやりそうである。要はそれと同じことを母娘でするわけである。

じゃあ、男性同士の友だちは、どういうことをするかというと……

趣味を通じて知り合った人同士であれば、バイクが好きな人だったら一緒にツーリングにいくとか、野鳥の声を聞きにいくとか、ダイビングにいくとか、いろいろあるかも知れない。しかし、たとえば会社の同僚と親しくなり、今度の土曜日に暇だったら一緒に遊びに行こうか! といって連れ立って映画を観たり、TDRへ行ったりなどということは、多分、ない。

ゴルフ? うちの会社だと、確かに一緒にゴルフに行く人たちもいるようだ。しかし普通はお客様と一緒に行くパターンで、社員だけで(つまり、友だち付き合いとして)行くのはあまり聞かない。なぜだろう。接待なら経費は会社に請求できるからかな。

プロ野球の観戦に行くでもなし、泊まりで温泉に行くでもなし、PARCOに買い物に行くでもなし。男同士はある時期を過ぎると、そもそもそういう付き合いをしなくなる。親とそういうことをしないのは友だち関係になれないからではなくて、友だちとだってそういうことはしないのだ。

それでは、親しくなると何をするか? 飲みに行くのである。親しくない人とも飲みに行くし、お客さんとも上司とも飲みに行くのだが、親しい人と飲みに行くのが一番楽しいし、回数も増えることになる。まあ、これはいける口の人の話で、酒を嗜まない人はまた別だろうけど。

男親は、男の子に対して、こいつが大きくなったら一緒に飲みたいな、と思うのではないだろうか。男の子は、いつか親父と差しで飲みたい、と思うのではないだろうか。そしてまあ、両者健康であれば、ある時期にそれは実現するだろう。ろくに会話もなく、互いに照れながら、静かに杯を傾ける。

それが男同士の付き合いなのである。*1

<追記:逆リンク>

*1:親との関係は、当人の性格や環境によって千差万別であり、もちろん、一言で決められるようなものではない。ここに述べたのは、そういうこともあるかな、という程度のものである。