ボクシングのルール その2

ボクシングは多少かじったことはあるが、競技者として試合に出たことはないし、テレビ放映は見たことがあっても生で見たことはない。その程度の僕がいう、あくまで個人的な見方であるが。

僕は、反則だからすべてが悪い、ということはないと思っている。ただし、許容されるのは以下のような場合であろう。

  1. 互いに実力差がなく、膠着した試合で、相手を制するためにするものであること。
  2. 審判の目に(もちろんファンの目にも)映らないようにすること。
  3. 後ろからの攻撃、ダウンした相手への攻撃、目潰しなどは深刻かつ致命的な肉体的損傷を与える可能性があるため、論外。また、かみついたり、投げ飛ばしたりするのはもはやボクシングとは異なる競技であり、これらは即刻反則負けどころか、ライセンスを剥奪されても文句はいえないだろう。

まあ、つまり内藤大助亀田大毅の世界戦に即していえば、

  1. 元々大きな実力差があった。反則技の練習をするくらいなら、もっと基本技に磨きをかけろよ。
  2. バレバレだった。まあ、ボクシングはプロレスと違ってレフリーの他に審判が二人いるし、タイトル戦ともなればテレビカメラがリングサイドに陣取っているから、バレないようにやるのは実質的に不可能か。つまり、タイトルがかかったような試合で反則なんかするなってことだ。
  3. 投げの大技を打つなど、何の試合だかわからなくなるほどだった。内藤の証言によれば、危険なサミングも繰り返していた。

ボクシングは、格闘技というには異様に制約の多い競技である。素手で闘う場合、普通に考えると、叩く、突き飛ばす、締める、投げる、蹴る、体当たりする……などが考えられるが、ボクシングにおいてはすべて反則。唯一許されるのは「二つの拳とひとつの頭」。頭というのは頭突きのことではなく、頭脳のこと。

技として許されるのは拳頭で相手の上半身を突くことのみ。その技を磨きに磨きぬく。ひとつの技にさまざまな変化をつけ、その組み合わせを工夫し、頭脳をフル回転させて試合に挑む。だからこそ、磨きぬかれた技は芸術にも匹敵し、そのチャンピオンは「King of Kings」と称されるのだ。

それを自ら冒涜するような選手は、厳罰を処せられて当然だ。