旅行:シンガポール〜ビンタン島(インドネシア) その2

シンガポールの印象

日本の繁華街とほとんど変わらない、というのが最初の印象だ。

5日の夜に空港に到着し、それからマイクロバスでホテルへ。道路は右側通行で、そのせいもあってか日本車も多く走行し、違和感がない。通り過ぎる風景も、高層建築が多いなど、日本の都市部に似ている。近代建築物は、国が変わってもデザインにそう大きな違いはないのだろう。強いていうと、日本で高層建築というとオフィスビルやホテルなどでマンションは少ないが、シンガポールでは一般住宅も多い。地震がない、台風が来ない、そして人口密度が高いとなると、住宅の高層化はごく当然の成り行きのようだ。

高速道路をおりて市街地に入ると、伊勢丹HMVなどが目に付く。もう23時半だというのに、人通りがすごい。年輩の方も見かけるが、ほとんどが若い人だ。土曜日ということもあり、観光客ではなく、地元の人が遊んでいるのであろう。雰囲気としては夜の新宿・歌舞伎町あたりとそっくりである。中国人が多い(シンガポールは75%が中国系)のも日本と似て見える理由のひとつであろうが、若い女の子が肩や背中を大胆に露出させた服を着ているのも、半ケツなのも、平気で地べたに座り込んでいるのも、日本で見る光景となんら変わりない。こうした風習は日本だけのものではなかったのだ。

ホテルは市街地の中心部にあるが、向かい側には高島屋。斜め前に若い人が大勢出入りしている建物があったので覗いてみたところ、上の方は映画館になっているようだが、地下と1Fにある飲食店は、マクドナルドにKFC、吉野家……。近くにはセブン・イレブンもあって、見れば見るほど日本と変わらないのだ。恐らく、そう遠くないうちにBOOK OFFが出店するのではないか。

9日に再度シンガポールに戻って来て、夕刻を過ごした。買い物にラッフルズ・ホテルに行ってみたが、世界的に有名なクラシックホテルであるこのラッフルズは、シンガポールがイギリスの植民地時代の1887年にオープンしたもので、このヴィクトリア風の建築物はさすがに日本では見られない。

夕食後はクラーク・キーからマリーナ・ベイまでを船でぐるっと回ってみる。ベイサイドにあるラッフルズ・スクエアは、アジアの経済の中心地という形容が不自然ではない威容だった。日本で湾岸というと、お台場か横浜のみなとみらいあたりになろうか。みなとみらいにはランドマークタワーがあるが、それを除けばさほどの高層建築物はない。ラッフルズ・スクエアは高層建築物が密集している。新宿新都心でもあそこまでは密集していない。

ちなみに、8月9日はシンガポール独立記念日。パレードを見ることはできなかったが花火は少し見た。日本のように、国の成立過程も確固たる説がないような状態なのは、ある意味では幸せなのかも知れないが、建国の意識に乏しいのも事実であろう。日本の建国記念日をがいつかと訊かれて即座に答えられない人も多いだろうし、なぜ2月11日が建国記念日なのか説明できない人はさらに多いだろう(初代天皇である神武天皇が即位したとされる日)。しかし、近代になって自らの手で独立を勝ち取った「独立記念日」は、盛り上がり方が半端ではないことを実感した。