プロの表現者

このタイトルで、筆者がマンガ家のしりあがり寿さんとくれば、大部分の読者は、技術的な「マンガの描き方」を具体的に説明した本だと思うのではないでしょうか。

しりあがり寿の漫画を読んだことがある人なら、彼が技術的な「漫画の描き方」を具体的に説明した本を著わすわけがないと考えるのではないだろうか。

あの絵*1で、20年近くもプロの漫画家として生きてきているということは、プロに必要なのは絵が描けるだけではないという証左でもある。彼が著者ならむしろそのあたりにスポットを当てているのでは、と期待して手に取る人が多いのではないかと思うし、彼を起用した側の狙いもそこにあったのではないかと思う。

そもそも、しりあがり寿を漫画家と呼ぶのが正しいのか、という疑問もある。漫画以外にも、エッセイ、小説、ゲーム作りなどを手がけ、デザイナーでもあり、大学で教鞭も取る、マルチ・クリエイターなのだから。

*1:Wikipediaによれば、「非常にラフな描き殴った感じがする絵を描く漫画家としても知られるが、生前の手塚治虫に「この人は実はものすごく絵がうまい人だ」と評された」らしい。が、専門家の評価はともかく、一般に彼は絵の上手い漫画家だとは思われていない。だから、彼が技術的な絵の描き方を本にしても売れないだろう、ということである。