天地返し

「天地無用」は、意味が逆じゃないか? と何かと話題になる言葉である。こうした時に出てくる説はだいたい三つあって、

  1. 「天地」にはもともと「天と地を引っくり返す」という意味があった
  2. 元は「天地返し無用」とかなんとかいう言葉だった。変に省略されて意味がおかしくなった
  3. 元は「転置無用」だった

雪見さんは二番目の説だが、僕は一番目が正しいのではないかと思っている。江戸時代にこのような意味での用例があるようだが、現在ではこの意味は「天地無用」という言葉にのみ残っている、ということだろう。「うしろまえ」という言葉が「後ろと前を逆にする」という意味であることを考えると、納得のいくところである。

ちなみに僕は「天地返し」というと、柔道の技を思い浮かべる*1。体落しを二重に掛ける必殺技である。創始者は利鎌竜平。受身を取ることは不可能という恐怖の技だが、柔道は相手を背中から落とせば勝ちなのに、なぜいちいち気絶させたり大怪我を負わせたりする必要があるのか不思議。

日本以外全部沈没」は筒井康隆さんの短編ですな。サスペンスではなくコメディーです。

*1:「柔道讃歌」という漫画の話です。