福島の県民性

NAOさんとこの記事を読んで、「Chakuwiki(ご当地の噂)」なるサイトの存在を知る。さっそく「福島」を引いてみたのだが、ちょっと首を傾げた。これ、本当に福島県人が書いたのだろうか。

以前、「福島というところ」(雑記帳、2001/01/09)で書いたことがあるのだが、福島県は三つの国から成り立っている。この三つは気候も、風土も、産業も全く異なる、別の文化圏である。それらを一緒くたにして「福島県」としてまとめて何事かを述べる習慣は、福島人にはない。

この区別が明確になっていないため、県外の人が断片的な知識をまとめて書いたのではないかという気がするのである。冒頭の「自分を東北人だと思っていない」から、既に違和感がある。それで、取り敢えず「東北に属するのか関東補欠に入るのかよく分からない」の次に「中通りが東北、浜通りが北関東、会津新潟県」と書き加えておいたのだが。

以前勤めていた会社で、上司に「CHARADE君が正義感が強いのは、福島出身だからなんだね。白虎隊以来の伝統だろう」と言われたことがあるのだが、これは実は大きな見当違いである(もっとも、他県の人が誤解しやすいのは事実である)。白虎隊は会津であり、会津は別の国だからそういう気質は僕には何の影響も及ぼしていないのだ。地元の人と白虎隊が話題になったことはない。

だから20の「やたらと、「会津○○」という地名が多い。そんなに「福島県」って言われるの嫌い?」も、好きとか嫌いとかの次元ではなく、「福島県」という言葉の示す実態が存在しないから、普通は使わないだけのこと。もちろん「会津○○」という地名が多いのは会津だけの話。中通り浜通りは関係ない。

あと、3の「飲酒運転をしても決して捕まらない」は明らかに間違いであると指摘しておこう。確かに飲み会に自動車で来る人は多いが、昔から運転代行が発達していて、これを利用するのが一般的。自分で運転して帰ろうとしたら、警察に捕まる・捕まらない以前に、周囲から非難を浴びるはずである。

また、温泉旅館が近場にたくさんあり、安く利用できる。正確な金額は記憶にないけれど、「居酒屋で一次会+スナックで二次会+運転代行」と同程度かむしろ安いくらいの費用で、「旅館で宴会+宿泊+朝食代」が賄えてしまう。そのため、ちょっとした飲み会でも泊まりにしてし、早朝解散となることが多い。こうすれば帰宅の足を考えずにゆっくり飲めるというわけだ。

揚げ足取りついでにもうひとつ述べよう。35の米に関してはかなり正確さを欠いた説明だ。

米どころの新潟の中でも、魚沼産のコシヒカリは最上であるとされている。とはいえ、魚沼産でなくても、新潟産の米はどれもおいしい、というイメージがある。しかし新潟県も広い。魚沼と糸魚川新発田などは気候・風土はかなり違うはずだ。だから、魚沼産のコシヒカリが最上だからといって、新潟県コシヒカリはどれもおいしいということにはならない。

一方、会津魚沼市に隣接する地域は、魚沼と気候や風土が酷似している。そのため、ここでとれるコシヒカリは魚沼産のコシヒカリとほぼ同じ味がする。福島県産のコシヒカリといってもブランドとしての価値はあまりないけれど、実は魚沼産並みにおいしいのであり、少なくとも魚沼以外の新潟県産よりは上である……といって売りに出しているのだ。「魚沼産並み」と謳う以上、「眼中にない」というのはちょっと的外れだろう。

冗談みたいなサイトなので、あまり目くじらを立てるのもどうかとは思うが、だからこそ「うんうん、そうだよね」と頷けるものがないと、面白くないなあと思うのである。まあ、東京に出てきて既に20年経つから、僕の方がずれてきているのかも知れないけど。