読書

王貞治は偉大な人格者

王貞治、「野球にときめいて」(中央公論新社) 王貞治の自伝。王氏が直接書いたか、語った部分の合間に、解説に当たるような文が小さいフォントで挟み込まれている。それを書いたのが誰か明示されていない。恐らく全体の構成もその人が担当したのだろうと思…

通算251勝のケンカ投法

東尾修、「ケンカ投法」(ベースボール・マガジン社新書) そういえば東尾は競技者表彰で野球殿堂入りしたのだった。表彰式には「石田純一・理子夫妻もきてくれた」とあるが、和解したのか、それとも勘当はマスコミ報道だけで、実際とは違ったのか。*1さて、…

生まれ変わりの村

あなたスープ飲みます??(開店休業たばこ屋ダイアリー、2010/07/04) ここで紹介されていた「生まれ変わりの村」、面白そうな本だなと思って検索したら、なんだ、森田健の著作かあ。

江川と掛布の巨神戦「巨人-阪神戦」

江川卓、掛布雅之、「巨人-阪神戦」(角川oneテーマ21) 江川と掛布が現役時代は、僕が恐らく一番夢中で野球中継を見ていた時代で、だから二人が語る当時の様子はとても懐かしく読んだ。ただし、ジャイアンツが強く、タイガースがそのライバルとして強く、巨…

野村克也以外の名キャッチャー伝

赤坂英一、「キャッチャーという人生」(講談社) 野村克也が楽天イーグルスの監督としてぼやき全開の弁舌をふるい、人気が急上昇すると、(若き日の)野村こそが捕手の理想である……というような雰囲気が生まれ、野村とはタイプの異なる捕手があまり評価され…

「なぜ日本人は落合博満が嫌いか?」

テリー伊藤、「なぜ日本人は落合博満が嫌いか?」(角川oneテーマ21) タイトルの疑問の投げかけに答えるならば、落合がマスコミに嫌われているからであり、だから批判的な記事が多くなり、それを呼んだ多くの人は落合のことを嫌うようになるというわけだ。…

伝説の名将の光と影「野村克也は本当に名将か」

工藤健策、「野村克也は本当に名将か」(草思社) 僕はかつて野村克也の大ファンだったし、今でもそうといえばそうかも知れない。南海ホークスの監督時代は、8年間で優勝1回に2位3回、十分合格点の成績ではある。ただし日本一になったことはなく、チーム成績…

人に歴史あり「南極1号伝説」

高月靖、「南極1号伝説」(文春文庫) 思わず買ってしまったが、人に歴史あり、物に歴史ありというか。オリエント工業だけじゃないんだな。文春がこうした本を出すことにも軽い驚き。南極1号伝説―ダッチワイフの戦後史 (文春文庫)作者: 高月靖出版社/メーカ…

江夏豊の自伝「左腕の誇り」

江夏豊、波多野勝・構成、「左腕の誇り」(新潮文庫) 単行本を買ったはずだが見当たらない。BOOK OFFに行ってしまったのかも知れない。やはり手許に置いておきたかったため、文庫で出たのを機に再購入。著者名が江夏になっているが、厳密には江夏の著書では…

新六文銭の解散の真相

Wikipediaの「吉田拓郎」や「六文銭」の項では、金沢事件は新六文銭のツアー中に起き、それが元で新六文銭は消滅に追い込まれたような記述になっている。が、山本コウタローの「誰も知らなかった吉田拓郎」によれば、新六文銭が音源も残せず消滅したのは、メ…

山本コウタローによる吉田拓郎伝「誰も知らなかった吉田拓郎」

山本コウタロー、「誰も知らなかった吉田拓郎」(イースト・プレス 文庫ぎんが堂) 山本コウタローが一橋大学社会学部を卒業する際、卒業論文に吉田拓郎を取り上げたのは知る人ぞ知る話。本書は、彼が改めて拓郎の性格や生い立ちを綿密に調べ、書きあげた「…

2003年の吉田拓郎

田家秀樹、「豊かなる日々」(角川文庫) 「小説吉田拓郎 いつも見ていた広島」と続けて読んだのだが、記録している機会がなかった。前作が、デビュー前の拓郎を描いたのに対し、こちらは2003年……というのはつまり、肺腫瘍が見つかって、癌を宣告され、手術…

好き嫌いの激しい男の本「野村監督に教わったこと」

山崎武司、「野村監督に教わったこと 部下は上司で生き変わる」(講談社+α文庫) 2008年2月に刊行された「野村監督に教わったこと 僕が38歳で二冠王になれた秘密」に加筆・訂正したもの。本の作り方として、実はこのようなやり方(2年前に書いた本を、現在…

ひし美さんの本が重版

ひし美ゆり子、「セブン セブン セブン アンヌ再び……」(小学館文庫) 重版がかかったという。おめでとうございます。「文庫本で、場所もとらないしそう高くもないんだから、ファンならもう一冊買ってネ!」とはご本人の弁。申し訳ないが、2冊目はご勘弁くだ…

いまだに「ベンチがアホやからの江本さん」なのか

別冊宝島編集部編、「プロ野球スキャンダル事件史」(宝島SUGOI文庫) このシリーズには結構いい加減な記事が多いことはわかっているが、たまたま手許に本がない時にKioskで目にすると、つい買ってしまう。買えば夢中で読んでしまう。再読はほとんどしないの…

ウルトラマンの中の偉大なひと

古谷敏、「ウルトラマンになった男」(小学館) 本日到着。26日のサイン会にも行くから、また買うんだけど。フジ・アキコ隊員こと桜井浩子さんが読んで泣いたというが、なるほど、確かに泣けるわ。ウルトラマンやウルトラセブンには、こちらもいろいろ思い入…

ノムさん、もう楽天の悪口はやめましょうや

野村克也、「あ〜ぁ、楽天イーグルス」(角川Oneテーマ21) 書く書くと言われていた楽天本。「イーグルスは好きだが楽天は嫌い」と公言する作者が、怨みつらみを書いたもの……というわけでもなくて、一応、自分がイーグルスをどのように引っ張り、どういうと…

旅行の魅力

男女で旅行(新・鹿田内りなこさんのぺえじ、2009/12/21) 家族持ちが、知り合い程度の関係の人と、仕事でもないのに一緒に旅行に行くというのは、僕もよくわからない。そういうのを好きな人が行くこと自体はもちろん自由なのだが、時間の調整ひとつとっても…

ジョン・レノンの伝記

トニー・ブラッドマン、坂本真理訳、「ジョン・レノン 愛こそはすべて」(佑学社) 最近は、子ども向けの真面目な偉人伝シリーズなどに、ジョン・レノンや手塚治虫、イチローなどが並ぶようになり、違和感なく受け入れられているらしい。図書館で目に留まっ…

ウルトラマンの中のひと

古谷敏、「ウルトラマンになった男」(小学館) 初代ウルトラマンのスーツアクターであり、「ウルトラセブン」においてはウルトラ警備隊のアマギ隊員を演じた古谷敏が本を出すことになった。12月21日発売。予約受付が始まった。アマゾンの内容紹介によると、…

メジャー往年の名選手

ロバート・ホワイティング、芝山幹郎、「新・イチロー伝説」(ベースボール・マガジン社新書) ベースボール・マガジン社新書は(新刊以外)ほとんどの書店に置かれていない。これだけ多くの出版社が新書に参入してくれば、スペースの限られる一般の書店では…

プロ野球が殺される

海老沢泰久、「プロ野球が殺される」(文春文庫) 個々の意見については賛成のものもあればそうでないものもあるが、いずれにしてもこうした書き手を失ったのは残念だった。僕自身が常々感じている問題点をひとつ、挙げることにする。それは、始球式だ。昔は…

ビートルズリマスターCD 公式ガイド

ザ・ビートルズ・クラブ、「コンプリート・ビートルズ」(集英社インターナショナル) 間もなくリリースされるリマスターCDの解説本。通販で買ったのでどういう本だかわからなかったが、思ったより薄かった。簡単なビートルズ・ストーリーも述べられているが…

アマチュア時代の吉田拓郎

田家秀樹、「小説吉田拓郎 いつも見ていた広島」(小学館文庫) アマチュア時代の吉田拓郎について書かれた本。拓郎だけでなく、拓郎を取り巻く人々もじっくり描き出されており、いわゆる青春小説、群像小説として読めば(吉田拓郎のファンでなくても)、十…

伝説の打撃コーチ、高畠導宏の生涯

門田隆将、「甲子園への遺言」(講談社文庫) 実は、僕は高畠導宏の下の名前を間違って記憶していた。なんだと思っていたのかと言われると正確に思い出せないのだが、とにかく「高畠導宏」という名前には覚えがなかった。だから、この単行本が出た時(2005年…

「プロ野球ニュース」名物司会者が語る

佐々木信也、「「本番60秒前」の快感」(ベースボール・マガジン社新書) スポーツキャスターとしての佐々木信也は多くの人がご存じと思うが、彼が野球選手、それも一流の選手であったことを知る人は少ない。そこでちょっと紹介してみる。高校時代は一年生の…

小説らしい小説「雷撃深度一九・五」

池上司、「雷撃深度一九・五」(文春文庫) 「真夏のオリオン」の本当の原作だという本書をようやく入手したので読んだ。倉本艦長も登場するが、本書の本当の主人公は永井少将であろう。この人物は映画では登場せず、倉本すり替えて描かれている。一方、映画…

森祇晶氏の正論

森祇晶、「野球力再生」(ベースボール・マガジン社新書) 森祇晶といえばご存じ、黄金時代の西武ライオンズの監督として9年で8度の優勝(うち日本一は6度)を果たした人。そんな彼が最近の日本のプロ野球を憂い、さまざまな批判と提言をしている。ひとつひ…

真夏のオリオン

飯田 健三郎、福井晴敏監修、「真夏のオリオン」(小学館文庫) 映画の原作ということだと、池上司の「雷撃深度一九・五」(文春文庫)になるのだろうがアイデアをいただいただけでストーリーはかなり変えているらしい。「映画化原作」として本書がクレジッ…

福本さんも本を書いた

福本豊、「走らんかい!」(ベースボール・マガジン社新書) 福本豊といえば、もちろん世界の盗塁王であり、通算2,543安打(歴代5位)、449二塁打(歴代2位)、115三塁打(歴代1位)、1,656得点(歴代2位)、先頭打者ホームラン43本(歴代1位)……などなど、…